2003 Fiscal Year Annual Research Report
絶対王政期フランスにおける地方の治安維持に関する研究
Project/Area Number |
15530009
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
正本 忍 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (60238897)
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Keywords | マレショーセ / 治安 / 裁判 / 軍隊 / フランス / アンシァン・レジーム / 絶対王政 / ノルマンディー |
Research Abstract |
以下は、研究費採択の内定(昨年10月)以降の研究実績である。 まず、陸軍歴史課古文書館(フランス・ヴァンセンヌ市)所蔵の史料に基づいて、18世紀前半におけるオート=ノルマンディー地方のマレショーセの隊員(班の指揮官及び騎兵)名簿を作成し,"Liste des hommes de la marechaussee en Haute-Normandie(1720-1750)"のタイトルで『総合環境研究』(長崎大学環境科学部)に投稿した(第6巻第2号に掲載予定)。本稿は、フランスをはじめとする国外の研究者にも資料として参照されるべく、フランス語で書かれている。来年度は、当該地方のマレショーセの成員(将校・プレヴォ裁判役人及び隊員)について研究をまとめる予定で、上記名簿の作成はその準備の一環である。 また、年度末の3月末には「近代国家の生成史」研究会(於九州大学)において「マレショーセと地域住民-民衆による国王権力の受容に関する-考察-」と題する研究報告を行った。マレショーセは田園地帯と幹線道路の治安維持を担当する警察組織かつ裁判組織であり、したがってローカルな民衆世界と国王権力が接する最前線に位置する。この報告では、一方で国王権力の強制力としての側面を持ち、他方で民衆世界の安全・平和の擁護者の側面を持つマレショーセを民衆がどのように捉えていたかという問題について検討した。ただし、これは3月半ばまでの研究成果をまとめたもので、論文として公表するにはまだまだ内容を充実させねばならない。来年度に、史料、参考文献によって中身を一層濃くし、学会や研究会に報告して多くの批評を受ける必要があるだろう。
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