2005 Fiscal Year Annual Research Report
地方議会の活性化を目指す議会改革の構想および実践に関する研究
Project/Area Number |
15530022
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
村上 英明 福岡大学, 法学部, 教授 (50145182)
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Keywords | 地方議会 / 議会改革 / 地方分権 / ドイツ州議会 / 議会の活性化 |
Research Abstract |
本年度の3つの研究実施計画のうち、第2のドイツ州議会改革の概要を論文として公表することはいまだ実現していないが、第1のわが国の地方議会の活性化をめぐる現状と問題点の明確化、および第3のドイツ州議会改革の中で参考となり得るポイントの分析にっいては、以下のことが明らかとなった。 まず、地方議会の活性化を目指す取組みとして、一問一答方式の採用や一般質問の時間制限の緩和などの議会運営上の工夫・地方自治法96条2項の活用や議員提案の増加などの政策策定への積極的な参加、委員会の公開や土日・夜間議会の開催など開かれた議会の推進については、先進議会や全国3議会議長会のイニシアティヴにより、徐々に全国の地方議会に採用されつつある。他方、最近の新たな取組みとして、地方議会の地位、役割、活動に関するルールを自主的に制定しようとする動きが注目される。これには三重県議会が取り組んでいる議会の憲法としての「議会基本条例」、および横須賀市議会が制定した議会活動のルールとしての「会議条例・規則、委員会条例・規則」という2つの段階における取組みがみられる。 次に、ドイツの州議会改革のなかでわが国の地方議会の活性化の参考となり得るポイントとしては、州民発案、州民請願および州民投票という佳民参加(立法)制度と並んで、議員の質問権およびそれに対する政府の誠実な回答義務の制度が注目される。この制度は、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州憲法が憲法上明示的に規定して以来、旧東ドイツ地域の州憲法をはじめ他の州にも次々と採用され、ラインラント=プファルツ州も議会改革特別委員会の答申を経て2000年の州憲法改正により採用されるに至った。議員の質問権と政府の回答義務の法的仕組みは、議会の実効的な行政統制の手段の一つとして、わが国の地方議会においても十分参考となり得ると考えられる。
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