2003 Fiscal Year Annual Research Report
警察行政の組織教育と執行に関する第三者機関(審議会)関与の比較法的研究
Project/Area Number |
15530026
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
今村 哲也 関東学院大学, 法学部, 教授 (00160060)
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Keywords | 警察官教育 / オーストリアにおける立法手続 / 安全アカデミー / 警察官教育の法システム / オーストリアの警察制度 / 社会的パートナー制 / 審議会制度 / 法治主義原則 |
Research Abstract |
本研究は1999年改正になる安全警察法を考察の対象としていたが、2002年にはオーストリアにおける警察官教育とりわけ安全アカデミーを頂点とする教育システムの統合・再編(主要ポイントは、警察と国家地方安全執行機関における教育制度の重複を回避すべく、全国に10カ所の統合教育センターを設置しアカデミーがその最高指揮を執ることとした)に係る関連条項の改正が実施された。これを本研究の新たな契機として、主に立法手続論の観点から、わが国の立法手続との対比においてきわめて特徴的である、社会的な各種の自治団体(経済・労働・職能・業種)さらには各州政府や地方自治体の立法への関与(意見具申手続)が、いかに進行実施されるかを詳細に考察した。とりわけ、政府官房案(立法草案)段階での各種団体の関与状況については、従来わが国における研究(成果)文献がなかったため、学界はもとより研究代表者自身にとっても有益な成果を発表することができた。また、改正法を受けて制定された安全アカデミーの運営および教育体勢の詳細を書く内務省命令の分析によって、教育にあたる警察官の資格条件等が命令をもって明定され公布されている点も、わが国に比して、より法治国家的であり透明化が図られている。警察官教育という執行機関の形成=いわゆる組織高権の中核領域にも命令形式での法的規律が導入されており、法実証主義発祥の国家たる所以を明らかにしている。 なお03年9月には、連邦内務省第II部教育課において、基礎教育課長トーマス・ホプフナー氏および警察科学研究所所長オットー・プラントル氏による上記法改正の下での実務状況についてのブリーフィングを受け、04年2月にはザルツブルク大学憲法・行政法研究所で日本の治安状況についての講演を行い、ウィーンにおいては人権協議会会長(元最高裁判所長官)エルヴィン・フェルツマン氏への法執行における人権保全に関するインタヴユーを実施した。
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Research Products
(1 results)