2004 Fiscal Year Annual Research Report
国際的な扶養に適用される準拠法と国家間協力の下での扶養料取り立て制度の研究
Project/Area Number |
15530032
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
横山 潤 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10129140)
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Keywords | 扶養料 / ハーグ国際私法会議 / 扶養決定の承認・執行 / 準拠法 / 扶養義務の準拠法に関する法律 / 国家間協力 / 行政協力 / 中央当局 |
Research Abstract |
平成16年6月7日から18日までの間にハーグにおいてハーグ国際私法会議特別委員会の第2回目の会合が開かれ、この特別委員会の審議を踏まえ、「子及びその他の親族に対する扶養料の国際的な回収に関する条約草案」が作成された。この条約にたいする日本政府の対処方針を策定するために設けられた「法制審議会国際扶養条約部会」の委員に平成16年4月に任命され、同部会の部会長として上記特別委員会のための対処方針案の作成および平成17年4月4日から4月15日までハーグにおいて開催される第3回特別委員会のための対処方針案の作成に参画した。 上記第2回特別委員会の審議結果は、扶養に関する国際裁判管轄権および扶養決定の承認・執行につきヨーロッパ諸国と米国との対立を浮き彫りにした。とくに、ヨーロッパ委員会がヨーロッパ内部における扶養料回収につき統一的かつ迅速な処理を目的とした理事会規則案のたたき台とでもいうべきものを平成17年末を目途に作成中であり、その動向が注目された。そのため、平成16年9月27日および28日にドイツのトリーアにおいて開催されたSymposium 'Aktuelle Entwicklung im Europaischen Familien-und Erbrecht'に個人資格で参加した。その結果、ヨーロッパ内部における問題点および将来のハーグ条約にたいするヨーロッパのおおよその態度を把握できた。さらに、ハーグ国際私法会議常設事務局次長William Duncan氏との丸2日に渡るインタビューはきわめて有益であった。 なお、ハーグ国際私法会議の第4回特別委員会は平成17年11月に、そして、条約案採択の外交会議は平成18年夏に開催される予定であるため、これらに向けて、ヨーロッパ各国の実質法の調査と国際私法上の処理について調査を行った。
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