2003 Fiscal Year Annual Research Report
企業組織の変動と労働法の未来-〈組織の範囲〉と〈組織の成員〉の視点から
Project/Area Number |
15530045
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石田 眞 早稲田大学, 法学部, 教授 (80114370)
|
Keywords | 企業組織 / 雇用形態の多様化 / 労働法 |
Research Abstract |
企業組織の変動と労働法の未来というテーマで、<組織の範囲>と<組織の成員>という二つの視点から企業組織の変動の様相をとらえ、労働法の課題を探り出すことをめざした。今年度は、主に、<組織の成員>の変動という側面からの検討を行った。 具休的には、(1)近年の雇用形態の多様化は、成員構成からみた場合、企業組織のいかなる変動と関係をもっているのか、(2)そうした企業組織の変動が労働法の歴史的なあり方とどのような関係をもっているのか、(3)企業組織の変動との関係での雇用形態の多様化が労働法にどのような課題を投げかけているのかを検討した。 その結果、第一に、雇用形態の多様化は、企業組織の成員構成を大きく変化させていることを明らかにした。すなわち、(1)正規従業員が減少する一方、非正規従業員が増大し、(2)アウトソーシングによって自営業者や派遣労働者が組織の成員となり、(3)情報化によって企業がますます仮想化している。 第二に、企業組織の成員構成の変化を労働法との関係で歴史的にみると、現在は、第三段階と位置づけられることを明らかにした。現在の労働法は、第二段階の企業組織のあり方を前提にして構築されたが、現在はその基盤が掘り崩され、労働法自体が変容を迫られている。 第三に、伝統的な労働法モデルを乗り越えるための労働法の新たなモデルを検討した。そのモデルは、従来の保護や規制を新たな雇用形態に拡張する伝統的労働法拡張モデルでもなく、雇用形態の変化を理由に、できるだけ伝統的労働法の保護や規制をはずし、自浄的な労働力取引に任せる規制緩和モデルでもない「第三の道」を模索した。
|
Research Products
(1 results)