2003 Fiscal Year Annual Research Report
高齢社会の遺産承継、特に比較法から見た遺産承継のための法技術
Project/Area Number |
15530056
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大塚 龍児 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30009815)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲生 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (80230572)
藤原 正則 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70190105)
|
Keywords | 遺留分 / 企業継承 / 配偶者相続権 / 先取りした相続 / 法廷相続の空洞化 / 遺留分条項 / 遺言自由 / 予防法学 |
Research Abstract |
(1)本年は、ドイツの相続法上の制度、特に、最近の予防法学上の措置、及び、以上を取り巻く社会保障法、税法の関係について検討した。但し、その中の重要なテーマである企業承継については、研究の端緒についたばかりである。 (2)さらに、上記の検討の大前提として、ドイツでの遺留分に対する考え方、最近の議論について重点的に研究を行った。具体的には、第2次世界大戦後の遺留分に関する議論から2002年のドイツ法曹大会に至る遺留分に関する予防法学と、立法論も含めた問題点の検討である。大雑把にいうと、1970年代に非嫡出子の相続権の承認と共に、配偶者相続権が強化されたことを契機に始まった遺留分に関する議論は、法定相続のあり方を中心としていた。さらに、旧東ドイツの合併の際に、東ドイツの相続制度を参照しての法定相続に関する議論があった。ところが、他方で、生前処分・死因処分、特に、予防法学の発展で、法定相続は空洞化し、遺言自由を十全に活用(濫用?)した遺産承継が行われている。わが国も税法上の問題点が減少すれば、傾向的には同様の方向に向かうであろう。以上の基本認識を踏まえて、各論的な研究を継続したい。 (3)本年度の具体的な成果に関しては、ドイツの遺留分に関しては、2004年度に北大法学論集に掲載予定である。さらに、社会(保障)法との関係では、新井誠(筑波大学大学院教授)編の翻訳書に2編の社会法の比較法に関する論文(Hans F.Zacher, Abhandlungen zum Sozialrecht, Hersg.Bernd von Maydell, Eberhard Eichenhofer, Muller,1993)の翻訳を掲載予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 大塚 龍児: "信義則上株主総会決議のないことを理由に取締役への退職金の支払いを拒めないとされた事例"私法判例リマークス(法律時報別冊). 28号(2004年上). 102-105 (2004)
-
[Publications] 藤原 正則: "顧客の株式を無断売却して、売却代金を顧客の口座に振り込んだが、後に株式を顧客に返還した証券会社の、顧客に対する売却代金相当額の不当利得返還請求権"私法判例リマークス(法律時報別冊). 28号(2004年上). 62-65 (2004)
-
[Publications] 藤原 正則: "区分所有権ほか(20項目)"コンサイス法律学用語辞典(三省堂). (所収). (2003)
-
[Publications] 山本 哲生: "イギリスにおける受寄者、下請業者等の被保険利益に関する法理の展開"法学(東北大学). 67巻6号. 194-233 (2004)
-
[Publications] 山本 哲生: "自己を被保険者とする生命保険契約の受取人変更と遺贈・死因贈与"保険事例研究会レポート(生命保険文化センター). 185号. 1-7 (2004)