2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐久間 毅 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80215673)
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Keywords | 契約締結 / 補助者の利用 / 復代理 / 善意・悪意 / 法人の善意・悪意 |
Research Abstract |
本研究は、取引が大量化し、内容も複雑になった今日の取引社会において不可欠となった、契約締結補助者を用いた者が負うべき責任と、この者に認められるべき権利について検討することを課題としている。この課題に取り組むために、本年度は、主として以下の二つの作業をおこなった。 第一に、法人が契約を締結する場合における補助者利用の形態と、それに応じて法人に認められるべき責任の分析をおこなった。補助者利用の形態としては、補助者のおこなう行為として、代理、契約に関する重要情報の提供および入手、締結行為そのものの実行などがあり、利用される補助者としては、(1)法人の構成員及び従業員、(2)法人が直接・間接に委託した者、(3)法人から委託されたわけではないが事実として法人のために活動した者などがある。補助者のおこなう行為のいかんにかかわらず、(1)と(2)では、補助者の行為及び主観的態様について、法人は代理の法理の類推により責任を負うべきであると考えられるが、(3)については、復代理法理を類推すると法人は責任を負わなくてよいことになり、必ずしも適当とはいえない。そこで、この問題については、次年度以降になお検討することとした。また、補助者がある事実を知っているときに、それを法人に帰責できるかという問題全般において、どのような場合をもって事実を「知る」といいうるかについて慎重に検討を要すると考えるに至った。この点も、次年度に検討する。 第二に、本に関連する問題として、ドイツにおけるWissenszurechnungに関する議論状況を、ドイツに出向いて調査し、また、有益と考えられる資料を収集した。ただし、この問題は、本研究課題全般に関連するため、その分析はまだ完了していない。これも、来年度以降に継続しておこなう。 なお、本研究の中間的な成果として、銀行等の法人が補助者を用いて債権者でない者に弁済した場合に、どのような要件のもとで法人は免責を受けられるかについて検討した論文(「民法478条による取引保護」後掲「研究発表」欄参照)を公表した。
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Research Products
(1 results)