2004 Fiscal Year Annual Research Report
医療被害に関する無過失補償制度-イギリス法・スウェーデン法の展開に徴して
Project/Area Number |
15530066
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
五十川 直行 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (80168286)
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Keywords | 医療被害 / 無過失補償制度 / 患者の権利 / 患者・医師関係 / イギリス医事法 / スウェーデン医事法 / 医事法 |
Research Abstract |
本研究は、かねてより実施中のイギリス医事法に関する課題研究に直結し、民事法学的アプローチにより医事法の領域に踏み込み、その具体的焦点を「医療被害に関する無過失補償制度(no-fault compensation system)」に据える継続研究である。本年度は本研究の最終年度として、イギリス医事法に関する考究を一層多面的に推進するほか、ことに、スウェーデン医事法に関する基礎的理解をさらに広い視角から獲得しつつ、「医療被害に関する無過失補償制度」に関する基礎的知見につき、一定の総括的提示に至ることを目途に立案された。その研究手順は、患者・医師関係を踏まえ、医療被害に関する患者の救済制度を包括的に検証するという本研究の特質に照らし、民事法領域を中心に広く医事法の総体を視野に収め、医事法に関する厖大な文献・資料等の精査・整序作業から鋭意手掛けられた。具体的には、イギリス・スウェーデン医事法に関わる著書・論文、立法資料、判例等の蒐集・分析の場を、国内の諸施設に求めるほか、直接、Cardiff Law School等のイギリスの医事法研究施設、Uppsala大学等のスウェーデンの研究施設に求めて実施された。右作業等の遂行により、ことに、(1)政府報告書(Making Amends)の提出等を機縁とし、根本的に医療制度全体の法枠組みを模索している近時のイギリス法事情、(2)70年代以降の不法行為法改革を背景に、「患者損害法」(1996年)により患者保険(patient insurance)を導入するスウェーデンの法事情が、「医療被害に関する無過失補償制度」を考察するうえで有益な視点等を提供することが確定できた。今後は、右の基礎的知見等を踏まえ、i 医療被害に対するあるべき法的救済制度の開発に向けた一層包括的な比較法研究のほか、ii 遺伝子医療等の具体的な問題局面を扱う各論的研究に接続して、本研究がさらに展開することが期待される。
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Research Products
(4 results)