2003 Fiscal Year Annual Research Report
紛争処理分野におけるコミュニケーション技法の開発と関連理論の研究
Project/Area Number |
15530068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 久子 九州大学, 大学院・法学研究院, 助教授 (50336038)
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Keywords | 紛争管理 / 紛争管理論 / 調停 |
Research Abstract |
1)文献検索と翻訳-この分野ではふたつの翻訳が実施された。一つはモートン・ドイッチコロンビア大学名誉教授とピーター・コールマン同大学助教授が編集した『紛争解決ハンドブック』の和訳である。同書は600ページをこす長大なものであり、全体の翻訳は時間的に困難と判断し、中から特に重要と思われる7葦を選んで和訳した。訳された原文は総て社会心理学者であり調停人としても活躍している専門家によってかかれており、学問的研究と現場のギャップを埋めるという本研究目的に適っている。さらに、日本側から九大法学研究院の和田仁孝教授と研究代表者、レビン小林、さらに、九大人間環境学研究院の山口助教授、法学研究院博士課程終了の宮永氏が独創的論文を書かれ、翻訳とあわせ、『紛争管理論-新たな視点と方向性』と題され昨年10月に出版されている。また、出版のさきがけとして、モートン・ドイッチ教授の小論文を抄訳し、発表した。論文は、私的考察と題され、ドイッチ教授が「協調と競争の理論」の開発に至るまでの学術的道程について語ったものである。 2)文献研究-また、解決困難な紛争(イントラクタブル コンフリクト)の定義と特質について研究するために、リサーチと新たな文献収集を開始した。 3)さらに、以上の論文翻訳を土台に、日本人向け調停トレーニングの手引書の執筆を開始した。手引書は、視聴覚の要素を取り入れ、さらに法理学の見地から紛争理論を解説することを試みる、新しいタイプの手引書にすることを意図している。平成16年に学外調停経験者向け調停トレーニングを3回実施するが、そのときに使い、その有効性を確認、あるいは、改正の必要性などを確かめる予定である。 4)研究代表者は15年度夏米国を2週間訪れた。これは、いわばネットワーク構築の第一歩であり、ニューヨーク州とワシントンDCにおいて調停協会やセンターを訪問した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] レビン小林久子: "愛から愛へ(上)"戸籍時報. 553. 2-12 (2003)
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[Publications] レビン小林久子: "愛から愛へ(下)"戸籍時報. 554. 3-9 (2003)
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[Publications] ドイッチ, レビン小林久子(抄訳): "協調と紛争-社会心理学における紛争解決研究の歴史に関する私見"戸籍時報. 560. 14-22 (2003)
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[Publications] レビン小林久子(編集): "紛争管理論-新たな視点と方向性"日本加除出版. 285 (2003)