2006 Fiscal Year Annual Research Report
契約プロセスにおける交渉力濫用の民事的規制に関する研究
Project/Area Number |
15530069
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曽野 裕夫 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (60272936)
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Keywords | 契約プロセス / 交渉力濫用 / 優越的地位の濫用 / 競争秩序 / private ordering / UCC / CISG / UNIDROIT原則 |
Research Abstract |
本研究の目的は、一般的な契約法理として、契約プロセス(契約の締結交渉から履行、さらに履行後の関係にかかわる一連の過程)における「交渉力濫用」を規制する民事法上の法理の可能性をさぐることにある。今年度は具体的には、3つの検討を行った。 【1】交渉力濫用規制の意味の明確化-民事規制と行政規制の同質性と異質性 「複数の<競争秩序>」と題して、行政規制とは異なる民事規制特有の競争秩序をさぐるための検討をすすめた。具体的には独禁法違反行為の効力に関する最高裁の「付加要件説」に対しては、近時それが現実には機能していないという批判が学説上なされているが、本研究では「付加要件説」の再評価を試みたうえで、その交渉力濫用問題への対応を考えた。この成果については、研究期間終了後のことになるが、2007年10月に開催される日本私法学会での報告を予定している。 【2】交渉力濫用規制の理念的基盤となる契約法パラダイムの検討 売買契約において引き渡された売買目的物に瑕疵がある場合という場面を想定して、そこにおける交渉力濫用規制についての比較法的・法技術的検討を行った。具体的には、「国際物品売買契約に関する国連条約」(ウィーン売買条約、CISG)および「UNIDROIT国際商事契約原則」が買主に与える救済方法を検討対象とした。これについては2006年6月に開催された日本比較法学会において口頭報告をした他、論文が印刷中である。 【3】交渉力濫用法理の比較法的・法技術的検討 アメリカ統一商事法典(UCC)第2編の拠って立つ契約法パラダイムを研究するための、研究を行った。総論的な研究は昨年度に一区切りをつけていたが、それをさらに補充する機会を得たので、その研究を継続し、小さな論孜を脱稿した。
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Research Products
(7 results)