2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530070
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
柿崎 環 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 助教授 (30348164)
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Keywords | 内部統制 / 監査委員会 / 内部監査 / 公開株式会社 / コーポレート・ガバナンス / SEC法執行 / サーベンス・オクスリー法 / 情報開示 |
Research Abstract |
第一に、平成16年度の研究計画に基づき、内部統制整備の法的メカニズムを解明する一環として、SEC法執制度の展開について検討した。即ち、米国におけるSEC登録会社が、連邦証券取引所法一三条(b)(2)の内部統制規定に違反した場合、SECが行う法執行の集積により企業の内部統制構築実務が進展したことから、今回は、まず証券市場不正に対するSECの法執行制度を俯瞰し、これにより証券市場規制における内部統制規定違反の法効果の側面から、内部統制構築を促進する法的メカニズムを明かにした。具体的には、2002年米国企業改革法におけるSECの法執行権限の変化、および迅速かつ多様な法執行制度の目的と手段の組み合わせについて、公正な証券市場機能の確保に向けた変更について考察した。この研究成果は、証券経済研究48号において「証券市場不正に対するSECの法執行権限の展開」として公刊した。 第二に、これまでの内部統制研究の総括として、2002年企業改革法に至るまでの内部統制概念の歴史的展開を、コーポレート・ガバナンスと証券市場規制における「公正な情報開示」とを接続する機能を果たす概念という視点から考察した。この研究成果は、日本評論社より「内部統制の法的研究」として単著として出版した。本書は、第一編では、法と会計・監査の領域において、それぞれ相互に拮抗しながら内部統制概念が明確化される過程を、1970年代から90年代までの監査基準書等の展開とSEC法執行事例の分析を中心に検証し、第二編では、1990年代半ば以降、外部監査人、監査委員会、内部監査人の機能の充実により、内部統制システムが法的に充実・強化される過程を検討し、第三編は、2002年企業改革法に基づき規定された内部統制規定の新たな展開を中心に検討し、最後に第四編では、全体のまとめとして米国企業の内部統制の法的展開と深化は、今後整備が求められる日本企業の内部統制にどのような示唆を与えるのかを展望した。
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