2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15530072
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
野澤 正充 立教大学, 法学部, 教授 (80237841)
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Keywords | 情報提供義務 / 消費者契約法 / 消費者保護法制 |
Research Abstract |
本研究の目的は、契約当事者の「合意」を中心に組み立てられてきた伝統的な契約法理論が、現代においてどのように変容し、今後どのような方向に向かって展開してゆくかを、消費者法制を1つの手がかりとして、明らかにすることを試みるものである。その初年度にあたる平成15年度は、具体的な問題として、「情報提供義務」ないし「説明義務」を取り上げた。この義務は、フランスの理論をもとにわが消費者契約法に規定されたものではあるが、当事者の合意に基づくものではなく、むしろ信義則に基礎づけられるものである。そして、その適用領域は様々であるが、大きく分けると、一回的な不動産売買と継続的なフランチャイズ契約とでは、その機能が異なることが明らかである。すなわち、一回的な不動産売買では、情報提供義務違反の効果として、単なる損害賠償ではなく、契約そのものの覆滅が重要であり、そのための法律構成としては、詐欺・錯誤等の意思表示の瑕疵、あるいは、契約締結上の過失などの解除が援用されることになる。したがって、これらの形成権と情報提供義務との関係が問題となろう。これに対して、継続的契約においては、信義則の領域が大きく、より情報提供義務が当事者に課されることとなる。ただし、フランチャイズ契約などでは、事業者同士の契約という側面もあり、自己責任の原則が強く働くため、損害賠償の額は、かりに認められるとしても大きく減額される傾向にある。このように、情報提供義務は、契約類型や当事者の属性によっても、その要件や効果が異なるものである。なお、情報提供義務と関連して、私立大学の学納金不返還特約も、かつては特約ということで有効とされていたが、近時はその合理性につき、大学側に説明責任が課されるとともに、消費者契約法の施行によって、特約の有効性に対する考え方も大きく変化した領域であると解される。
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Research Products
(2 results)