2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530072
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
野澤 正充 立教大学, 大学院・法務研究科, 教授 (80237841)
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Keywords | 契約法 / 消費者 / 瑕疵担保責任 / 債務不履行 / 消費法典 / フランス |
Research Abstract |
フランス私法では、近年、伝統的な商人と非商人との区別に代えて、事業者と消費者という区別が重要な枠組みとなってきている。例えば、人的担保の領域では、保証契約について、事業者によってなされた場合とそうではない個人によってなされた場合とで、その法制を異にしていた。また、物的担保についても、所有権担保は主として事業者間において利用されている。そして、契約法の領域では、瑕疵担保責任と債務不履行に関して大きな動きが見られる。すなわち、1999年5月25日にヨーロッパ議会において採択された、消費財の売買と担保責任の一定の側面についてのEC指令第44号は、2002年1月1日までに加盟国の国内法に転換されなければならないとされていた(11条1項)。しかし、フランスでは、2005年2月17日のオルドナンスによって、ようやくその消費法典(L.211-1条以下)への転換が実現した。この規定によれば、消費者である買主は、事業者である売主に対して、引き渡された物の不適合を理由に担保責任を追及することができる。ところで、民法典では、引渡債務の不履行に基づく解除訴権(1184条)・損害賠償訴権(1147条)および瑕疵担保責任に基づく訴権(1641条以下)の2つを有している。そこで、消費者保護の観点からは、この3つの訴権を消費者が用いることができるため、手厚い保護であると考えられる。しかし、民法の制度は、やや複雑なものとなった。とりわけ、その効果としての、(1)瑕疵修補、(2)代物請求、(3)解除、および、(4)代金減額請求における優先関係を認めるかどうかが今後の課題となろう。
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Research Products
(4 results)