2004 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカにおける1940年投資会社法制定の必要性と立法作業に関する研究
Project/Area Number |
15530074
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川島 いづみ 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50177672)
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Keywords | 1940年投資会社法 / 投資信託 / 投資会社 / アメリカ証券取引法 / 金融サービス法 |
Research Abstract |
本研究は、集団投資の媒体を統一的・横断的に規制するアメリカの1940年投資会社法について、かかる立法が必要とされた理由を同法成立の経緯から明らかにし、わが国の法制を考察する上での示唆を得ようとするものである。 20世紀初頭アメリカでは、一般投資家の資金を集めて証券投資を行う媒体として、会社、信託、契約など、様々な法形態による投資会社(投資ファンド)が急成長した。しかし、投資会社業を直接の規制対象とする法律は当時存在せず、投資会社の詐欺的・濫用的な経営や証券の販売から一般投資家を適切に保護することができなかった。諸州証券法(ブルー・スカイ・ロー)も一定の役割を果たしたが、その適用範囲や州の立法権の射程には疑念もあった。各州の証券規制当局は、連邦法による規制の必要性を痛感して、開示規制や銀行業法の改正提案を行っている。 連邦議会も、1935年には連邦法による規制の必要性を認識し、SEC(連邦証券取引委員会)に投資会社に関する調査権限を付与する法改正を行い、その調査結果が1938年から40年にSECの報告書として逐次議会に提出・公表された。これを受けて、Wagner-Lea法案が議会両院に提出されたが、業界代表者の強い反対により、大幅な修正を経て1940年投資会社法が成立した。法案との相違は、投資会社の分類、登録要件(情報開示の内容)、関係者の登録の要否、利益相反行為の規制、投資方針の変更、経営者の権限、株主の権利等、多岐にわたる。法案の重要な特徴のほとんどが失われたという批判もある。概括的にいえば、法案が監督法規の性質を有したのに対して、成立した投資会社法は情報開示を規制手段とし、内容的には既存の連邦証券諸法と重なる部分も多かった。それでも、投資会社法が成立したことの意義は、高く評価することができる。
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