2004 Fiscal Year Annual Research Report
民主化にともなう政党制の変容が経済政策に与える影響:韓国の場合
Project/Area Number |
15530091
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大西 裕 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (90254375)
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Keywords | 韓国 / 経済政策 / 政党 / 選挙 / 政策金融 / 政治経済学 / 民主化 / 補助金 |
Research Abstract |
平成16年度は具体的な政策過程調査を通じて研究を進めた。対象とする政策分野は、広い意味でのマクロ経済政策である金融政策と財政政策、およびミクロ経済政策である産業政策である。韓国では、産業政策の手段として政策金融が多用されたため、産業政策の隆盛は通貨供給量の膨張をもたらして経済をインフレ気味にする傾向があった。逆に、インフレ重視の政策展開は産業政策を抑制した。調査の結果、第1に、権威主義時代は選挙結果に応じて産業政策に重点を置く時期と、物価安定を重視する時期が交互に訪れていたことがわかった。第2に、盧泰愚政権では大統領与党の構成変化が、政策の変化をもたらし、通貨供給量を変動させたことがわかった。ただし、その変動幅は権威主義時代に比べてはるかに狭くなっていた。第3に、金泳三政権では初期の金融政策失敗を受けてその後政策にほとんど変動が生じず、産業政策と物価安定の双方に重点が置かれていたことがわかった。第4に、金大中政権では産業政策を大幅に縮小し、物価の安定と金融自由化へと政策転換したことが明らかになった。こうした民主化後の政策変化は、大統領党と野党第1党の政党支持構造に依拠していくことが明らかになった。つまり、産業政策を好む地方の支持がもろい、盧泰愚・金泳三政権では政策が転換できず、地方に固い支持基盤を持つ金大中政権では政策転換が可能であった。 以上の成果は、平成15年度の研究成果と併せて、平成17年度に1冊の著書として出版し公表する予定である。
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Research Products
(4 results)