2003 Fiscal Year Annual Research Report
イタリアのいわゆる「第二共和制」への移行に伴う法制度的変容の資料実証的研究
Project/Area Number |
15530092
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
村上 信一郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10305675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 利安 広島修道大学, 法学部, 助教授 (50226859)
鈴木 桂樹 熊本大学, 法学部, 教授 (90187724)
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Keywords | 政治改革 / 政党 / 憲法改正 / EU / 政治体制 / 行政改革 / イタリア / 選挙制度 |
Research Abstract |
イタリアにおける政治改革は、1993年の国民投票の結果として小選挙区・比例代表並立制を導入するという選挙制度改革をもたらしたころにより、戦後政党システムの「再編成」あるいは「脱編成」を生み出しはした。しかし憲法改正両院合同委員会が設置されたにもかかわらず、結局のところ憲法改正に基づく「体制移行」は実現を見なかった。それゆえイタリアは未だに新しい政治体制に向けての「長い過渡期」を経由しているといわれている。それにもかかわらず個々の政策領域に着目するならば、この10年間にいくつものミクロな「改革」が行われ、それなりの成果をもたらしてきたことが分かる。その最も顕著な例は財政・予算制度の改革である。いうまでもなく、それはEU・経済通貨同盟によって課せられた収斂基準を契機とするものであり、必ずしも内生的な文脈に則った政治「改革」の成果と呼ぶことはできないかもしれない。だが逆にいえば、グローバリゼーションとEU統合という「外圧」の下に置かれた一つの国民国家における政治「改革」は、必ずやこのような外生的制約条件の影響を蒙らざるをえない。それゆえ、そうした国際的な文脈から自律した自己完結的な国内政治的文脈を前提として政治工学的な観点から政治「改革」を実現しようとすることはもはや不可能である。いいかえると政治「改革」はその意図とは全く異なる結果を生み出してしまうのである。その結果、一種の「斑状」のミクロな諸改革がもたらされることになる。こうした観点に立つならば、他の政策領域においても、いくつもの顕著な「改革」の成果を認めることができる。行政改革や首相権限の強化に向けた議会規則の改正はその重要な事例といえよう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 村上 信一郎: "メディア・デモクラシーのもとでの政治の家産制化について(1)-ベルルスコーニ問題序説-"神戸外大論叢. 54・3. 29-51 (2003)
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[Publications] 村上 信一郎: "メディア・デモクラシーのもとでの政治の家産制化について(2)-ベルルスコーニ問題序説-"神戸外大論叢. 54・6. 59-82 (2003)
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[Publications] 村上 信一郎: "日本社会党とイタリア社会党(山口二郎, 石川真澄編)"日本社会学(日本評論社). 141-188 (2003)
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[Publications] 鈴木 桂樹: "男女共同参画社会というシナリオ(山中進編)"女と男の共同論(成文堂). 17-50 (2003)
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[Publications] 高橋利安: "イタリアにあける政党側の変容(森英樹編著)"市民的公共圏形成の可能性(日本評論社). 419-443 (2003)
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[Publications] 高橋利安: "イタリアにおける女性の政治参画の現状"修道法学. 26・1. 25-50 (2003)