2004 Fiscal Year Annual Research Report
アジア広域経済圏構想に向けたEUの通貨・金融システムに関する基礎的研究
Project/Area Number |
15530116
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
奥山 忠信 埼玉大学, 経済学部, 教授 (40185559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箕輪 徳二 埼玉大学, 経済学部, 教授 (20157580)
伊藤 修 埼玉大学, 経済学部, 教授 (40312912)
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Keywords | アジア経済圏 / 共通通貨 / ユーロ |
Research Abstract |
本研究の目的はアジア通貨危機以降のアジア通貨・経済圏のあり方について、欧州経済圏・統一通貨ユーロから学ぶことにある。このため、平成15年度には、イギリスを調査し、エジンバラ大学の研究者、ロンドンの大和総研、野村総研、アメリカ系金融機関Jefferiesのアナリストと意見交換を行った。フランスではレギュラシオーン学派の代表者であるロベール・ボアイエ教授(CEPREMAP)と意見交換した。その結果、イギリスのユーロ参加問題については、イギリス全体としては、ユーロ参加に消極的な意見が多い。しかし、金融関係者の間では、通貨の数が減る分だけ活動機会が縮小するという見方がある。また、保守派の間には、ユーロの中に社会主義の影響を見る見解もある。また、労働党内のブレア首相と次期首相候補といわれるブラウン蔵相の綱引き、すなわちどちらの功績になるかの問題が、早期参加のマイナス要因となっている。他方、フランスでは、ユーロの最大の成果は、フランスとドイツの政治的一体感の確立にあることが共通認識になっている。平成16年度にはドイツの調査を行った、ドイツに拠点を置くソニーにおけるヒアリングでは、ドイツのユーロにおける地位が、東欧・ソ連への進出の拠点という意味合いを強めていることが確認された。これはユーロの拡大方向と一致している。また、タイのキティ・リムスクル氏、岸本周平氏を招いて、国際シンポジウム「アジア経済圏形成のための日本とタイの役割について」を開催した。キティ・リムスクル氏は、現在タイ王国首相付副大臣であり、タイの経済政策の策定を担う立場にある。また、岸本周平氏はアジア通貨危機の時のアジア通貨室長であり、いわゆる宮沢プランの担い手であると同時に、現在トヨタ自動車の渉外部部長としてアジア進出の任に当たるとともに、内閣府政策参与として国の政策策定に関わっている。このシンポジウムにおいて、FTAの推進とアジア・ボンド市場の形成が今後のアジア経済圏形成のポイントになることが明らかになった。
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