2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530120
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
古澤 泰治 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (80272095)
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Keywords | 自由貿易協定 / ネットワークゲーム / トランスフアー |
Research Abstract |
海外共同研究者である小西秀男氏(Boston College)とともに、2国間で締結される自由貿易協定(FTA)をネットワークゲームを用いて分析してきた。産業化度や人口規模において似通っている国同士がFTAを締結しやすく、そのため全ての国々がそれらに関して対称的ならばグローバルな完備FTAネットワークが安定的になることを示した。また、FTA締結国間でトランスファーが可能ならば、国々が極めて非対称的な場合でも完備FTAネットワークが安定的になるという結果も導いた。各国が生産し輸出する差別化された財の間での代替性も重要な役割を果たす。それらの代替性が十分低いならば、完備FTAネットワークは唯一の安定的なネットワークとなる。逆に、もしも差別化財間の代替性が高いならば、完備ネットワーク以外の安定的なFTAネットワークが存在することになる。この様なときは、最終的に世界でどのようなFTAネットワークが張りめぐらされるかはFTA形成のパスに依存してくる。これらの研究成果は"Free Trade Networks with Transfers," forthcoming in Japanese Economic Reviewにまとめられている。そこでは、Contractual Stabilityという、ネットワークゲームにおける新たな解概念も提唱した。プレーヤー間の提携構造を規定するリンクを新たに追加したり既存のリンクを切ったりするときは影響を受ける既存の提携相手を保証しなくてはならないという条件を課したうえで安定性を要求した解概念である。 平成16年度は、小西秀男氏と新たな研究テーマに着手した。これまでの研究内容に政治経済学的な要素を導入したもので、各国政府が社会厚生と政治献金の加重和を目的関数として持つ場合のFTA形成を考察している。FTAにより企業の政治献金行動が変わり更なるFTA締結につながっていくというもので、世界中で加速度的に締結されているFTA行動を説明するものだと考えている。
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Research Products
(3 results)