2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 新介 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70184421)
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Keywords | 習慣形成 / 2国モデル / 窮乏化成長 / 経常収支 / 財政政策 / 奢侈財 / 時間選好率 / 弱非分離可能選好 |
Research Abstract |
消費における合理的習慣形成に関して、前年度のGombi and Ikeda (2003)の研究をさらに発展させて以下の論文をまとめた。 (1) Ikeda and Gombi(2004),Habit formation in an interdependent world economy, ISER Discussion Paper No.619:習慣形成の行われる2国経済モデルを用いて、消費-貯蓄、経常収支、金利、各国の経済厚生水準がどのような要因に依存するかを分析した。解の導出にあたっては、厚生経済学の第2定理を用いて集計的な世界効用関数を構成し、簡便な分析法を提案した。また、習慣形成下においてどれほど容易に貯蓄できるかをあらわす所得インデックス、「surplus income(余剰所得)」を定義し、2国の内余剰所得の大きい方の国が債権国に、小さい方の国が債務国になることを明らかにした。厚生含意として、習慣形成の下での異時点間交易条件効果が、窮乏化成長を引き起こす可能性を示した。この論文は、第57回International Atlantic Economic Conference (Lisbon, Portugal開催)と第79回Western Economic Association International(Vancouver, Canada開催)などで報告された。 また、合理的習慣形成と並んで、異時点消費選択に影響を与える重要な要因である内生的時間選好形成についても研究を進め、以下の2論文をまとめた。 (2) Ikeda(2004,forthcoming in IER):弱非分離可能選好モデルを用いて、動学的枠組みの中で奢侈財を定式化し、ある財が奢侈財であるか必要財であるかはその財の時間割引率が他財に比べて低い時間割引率をもつかどうかに依存することを明らかにした。またそのマクロ経済含意として、奢侈財に対する選好は富蓄積に対する誘因となるために、経済成長や対外純資産の蓄積を促進することを示した。 (3) Hirose and Ikeda(2004),Decreasing marginal impatience in a monetary growth model, Osaka University COE Discussion Paper No.43.時間選好率が富に関して逓減的であるモデルを使って、インフレーションの上昇が経済成長を阻害するという定型的事実を理論的に説明した。
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Research Products
(1 results)