2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530123
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上東 貴志 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (30324908)
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Keywords | 離散選択 / 景気変動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、離散選択問題と景気変動の関係を明らかにすることである。離散選択問題とは、(通常)有限個の選択肢の中から最適なものを選択する問題でことである。例えば、車を買い換えるべきか、新しいパソコンを買うべきか等は離散選択問題である。離散選択問題の研究が現実経済を理解する上で重要であるのは、現実経済における財の多くが不可分であり、不可分財の売買を扱った問題はすべて離散選択問題であるからである。不可分財とは、売買可能な最小単位が存在する財のことである。ところが、既存のマクロ経済理論の大部分は、財が無限に可分であるという仮定の上に成り立っている。離散選択問題と経済動学の複雑性の間には重要な関係があると考えられるのだが、この関係に焦点を置いた研究は当研究者の最近の研究を除けばほとんど皆無である。本研究の目的は、未開発領域である離散選択問題と景気変動の関係を明らかにすることである。 本年度の具体的な目標は、「個人レベルにおいては、離散選択問題は必然的に複雑なダイナミックスを引き起こす」という命題を証明することであった。同命題は当研究者の最近の研究により、2つの特殊ケースにおいて成立することが知られている。その証明方法から、一般的なケースにおいても成立することが予想された。手法的には、ダイナミック・プログラミングを用いずに無限期間の最適化問題を無限次元における最適化問題として捉えるというアプローチを取った。状態変数の空間と最適経路の空間を比較することにより、最適経路は一般的に複雑なダイナミックスに従うということを証明した。
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