2003 Fiscal Year Annual Research Report
スイスの視点から見た西欧経済学の展開についての経済思想史的研究
Project/Area Number |
15530133
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
喜多見 洋 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (30211197)
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Keywords | スイス / ジュネーヴ / J.-B.セー / エティエンヌ・デュモン / ピエール・プレヴォ / シスモンディ |
Research Abstract |
科学研究費の採択が決定した10月から、ただちに研究を開始し、10月末には一橋大学の社会科学古典資料センターおよび経済研究所で、18世紀後半から19世紀初めにかけての時期のフランス、スイス・ロマンドおよびイギリスを中心とした関連所蔵図書の調査を行なった。これによりエティエンヌ・デュモンおよびJ.-B.セーに関連した経済思想史上興味深い文献を入手することができた。さらに11月に一橋大学で行なった資料収集では、19世紀前半のフランスおよびスイス・ロマンドに関連した文献を調査、収集できた。またその際、社会科学古典資料センターにマイクロ・フィルムの形で保存されている文献の中からジェルマン・ガルニエに関連した資料も収集することができた。 これらの文献、資料と従来から収集していた文献、資料をあわせ、セーの経済思想を中心に分析を進め、それによってスイス・ロマンドの知識人達が18世紀末から19世紀初めの西欧の経済思想の展開において従来考えられていたよりもずっと重要な役割を果たしていたことが明らかになった。この場合、スイス・ロマンドの中でも特に同時代のイギリスの知識人たちと深い人的つながりを持っていたジュネーヴの知識人が重要である。なかでもエティエンヌ・デュモンとシスモンディ、ピエール・プレヴォの3名は、看過することができない存在であることがわかった。そしてこれらの知識人たちの知的活動について経済思想史との関連でその一部を示したものが、「転換期ジュネーヴの知識人たち」という論稿の形でほぼまとまった。これは、明年刊行予定の岡本明編『ナポレオン帝国と公共性』(ミネルヴァ書房)に、収録されることがすでに決定している。
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