2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウェーブレットの方法による非定常経済時系列分析のための統計理論
Project/Area Number |
15530139
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
田中 勝人 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40126595)
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Keywords | ウェーブレット / 長期記憶時系列 / ARFIMAモデル / 極限分布 / 検定統計量 / ランダム・ウォーク / フラクショナル・ブラウン運動 / 非定常時系列 |
Research Abstract |
1.非定常あるいは長期記憶的な時系列モデルのパラメータ推定を、既存の方法である時間領域および周波数領域で考察後、ウェーブレットの方法による推定結果と比較した。その結果、時系列が定常的な場合は、既存の方法が優位性をもつ。しかし、非定常な場合には、ウェーブレットの方法は、既存の方法よりも精度のよい結果を与えることが見出された。両者の違いは、非定常性の程度が強くなるにつれて、さらに顕著となる。 2.長期記憶時系列に観測誤差が加わったモデル(signal plus noise model)を使って、観測誤差が実際に存在するかどうかの検定を、ウェーブレットの方法で行った。既存の検定方式と同じ原理で求めた方法は、簡便であり、既存の方式を補完するものである。ただし、今までに提案されたいずれの検定方式でも、観測誤差を検出する検出力があまりないので、新しい方法を考える必要がある。 3.ランダム・ウォーク仮説を検定するための代表的な3つのモデルを取り上げて、それぞれについてウェーブレットの方法による検定方式を考察した。1つは、AR(1)モデル、もう1つはARFIMAモデル、残りの1つは、状態空間モデルである。検定統計量の分布は、極限分布の場合でも導出が困難であり、シミュレーションによる近似分布を与えた。 4.フラクショナル・ブラウン運動の2次汎関数に関する分布の導出を議論した。厳密な方法は未解決であるが、積分ブラウン運動の場合の分布からの類推を与えた。同時に、モーメントに関する単純な結果の予想を与えた。
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Research Products
(2 results)