2005 Fiscal Year Annual Research Report
95改定ESA産業連関表によるEU国際産業連関表の作成とEU統合分析
Project/Area Number |
15530147
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
良永 康平 関西大学, 経済学部, 教授 (90191626)
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Keywords | 国民経済計算 / 産業連関表 / EU統計局 / 国際産業連関表 / ハンガリー / ポーランド / EU経済 / サービス貿易 |
Research Abstract |
本研究の目的は、新たなヨーロッパ国民経済計算体系(95ESA)に基づくEUの産業連関表を解明し、それに基づいて21世紀を展望するような新たなEU国際産業連関表を作成し、またこれに基づいてEU統合の過程を検討し総括することである。このために、研究最終年にあたる平成17年度は平成15・16年度の研究成果をもとに、2000年EU国際産業連関表を作成・分析した。対象国は、ベルギー、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリア、ハンガリー、オランダ、オーストリア、ポーランド、フィンランド、スウェーデン、イギリス、スペインのEU13カ国である。この表の特徴は、1)国際産業連関表としては初の中欧諸国を組み入れたこと、2)生産者価格ではなくて基本価格による財貨・サービスの評価であること、3)EUの新しい共通産業分類による標準産業連関表を用いているために、EU諸国間の比較可能性が従来よりも高いこと、4)サービス貿易統計の充実により域内各国間のサービスフローの推計精度が高まったこと、などである。域内貿易依存構造の変化を捉えるために、付帯表として11カ国からなる1995-2000年接続EU国際産業連関表も作成した。この国際産業連関表を利用して、EU13カ国間の域内貿易依存構造の分析等をおこなった。その結果、たとえばドイツへの生産誘発依存度はハンガリーが最も高く、全体としてハンガリーの生産の約11%、特に輸送機械で約40%、一般機械で33%の生産がドイツの最終需要によって誘発されており、オーストリアの8%、オランダの7%、ベルギーやポーランドの6%を上回るドイツへの依存度となっていることがわかった。また接続表の分析からは、オーストリア、スペイン、フランス、ドイツ等で95年からの5年間にEU域内への生産誘発依存度が高まっていることがわかった。これらの研究成果は近く公表の予定である。
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