Research Abstract |
研究実績は,大きく3つにまとめられる。1つは,FTA契約の資料収集と基礎理論の整理,第2は,FTAに関するワークショップを通した海外の研究者との研究交流,第3は,産業界と政府の各省庁のFTAに関する考え方の意見交換を通じて,日本のFTA戦略を探ることである。 世界で200件近くの自由貿易協定が実現・検討されている状況を正確に理解する事からはじめた。そのために,そのFTAの内容を,歴史的な関係,政治的関係と経済的関係を中心に,日本を含むFTAに関する事実データを整理した。新しい国際経済理論に基づく,経済統合の利益,統合のダイナミックス,統合のゲーム論的戦略の理論とを実際のFTAに関連させて検討している。近年急速にFTAが増加している理由を,新しい国際経済学の理論をもとに,明確化し,日本や韓国のFTAの具体的な契約内容の整理だけからも,これまでに無いものを得ている。 2回のFTAに関するワークショップを行った。第1回は,11月4-5日で,韓国のFTA研究の第1人者である鄭仁教氏を招いて,セミナーを行い,さらにFTAが民間企業に以下に受けとめられていて,どのような問題があるかを,三洋電機とトヨタ自動車(東京本社),JETROなどを訪問インタビュウし,大学研究者と意見交換を行った。第2回は2月6日に環太平洋諸国の間のFTAにかんするワークショップであり,チリ,ブラジル,アメリカ,韓国,東京,九州の研究者をまじえた学術的な研究が深められた。 また,3月22日には大阪商工会議所でのFTAシンポジウムにモデレータとして参加し,外務省・経済産業省・農林水産省・厚生労働省(予定)の方針をとりまとめ議論する。そこには,関西の産業界(企業関係者)も参画するので,産・官・学の連携に関しても多くのことを得る可能性がある。
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