2005 Fiscal Year Annual Research Report
グローバリゼーションと地域経済統合の補完緊張関係に関する研究
Project/Area Number |
15530182
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
安藤 研一 静岡大学, 人文学部, 助教授 (40232095)
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Keywords | 地域経済統合 / 欧州連合 / European Union (EU) / 直接投資 / 多国籍企業 / グローバリゼーション |
Research Abstract |
平成17年度は,本科研費研究の最終年度ということで,この3年間の研究成果を総まとめした. 今年度,そして,本科研費による研究の最大の成果は,日系自動車・製薬多国籍企業の対EU直接投資を総括的に分析した著書,Japanese Multinational in EuropeをEdward Elgar社より出版し,内外で高い評価を得たことである.本書は,国際ビジネス学会会長を務めたこともあるPeter Buckleyリーズ大学(英)教授が監修するNew Horizons in International Businessシリーズの1冊に含められ,日本国内では国際ビジネス研究学会賞(単行本の部)を受賞した. 学会発表,論文発表としては,以下のようなものが挙げられる.11月には日本EU学会(九州大学)においてEUの拡大と日系企業の立地戦略に関する研究を報告し,その内容は同学会の査読を経て年報(2006年9月発行予定)に掲載されることが決まった.なお,日本EU学会からは学会報告と並んでEU研究の今後の方向性に関する見解を求められ,「EUの経済学,EUと経済学」を同学会ニュースレターに執筆した.更に,EUにおける多国籍企業の直接投資が,当該産業のみならず,関連産業の貿易に及ぼす影響を分析した論文を『経済研究(静岡大学)』に発表した. 上記のような個人研究と並んで,国際的な共同研究を進めたのも今年度の成果である.8・9月には日本学術振興会の外国人研究者招へい事業(短期)により静岡大学に招いたロンドン大学のOdile E.Janne博士とともに多国籍企業の立地戦略と産業クラスターに関する共同研究を行い,その成果の一部を共同で比較地域主義研究プロジェクト(東京大学社会科学研究所)第1回国際ワークショップにおいて発表した. 本科研費で上記のような研究を進める中で,従来の研究がEUの統合に対する多国籍企業の「進出」に注目が集まる一方で,「撤退」についての分析が未だ不十分なことが浮き彫りとなった.そこで本研究者は,地域経済統合と多国籍企業の「進出」と「撤退」を総合的に分析するため,平成18年度の科研費への申請を行い,更なる研究の深化を目指すものである.
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Research Products
(4 results)