2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530183
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 由美子 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 助教授 (00273805)
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Keywords | 産業集積効果 / 立地選択 / 外資系企業 / 地域開発 |
Research Abstract |
本年は、主に3つのことを行った。まず1つは、企業の立地選択に関する文献サーベイである。外資系企業といえども利潤を追求する企業に変わりはない。したがって、近年、目覚しく発展しているロケーション・セオリーのまとめならびに批判的検討をまずは行った。ロケーション・セオリーは、大まかに言って、伝統的な理論と近年、空間経済学の発達によって影響を受けた理論とに分けることができる。どちらの理論がより現実に近いかは、実証分析によると考えられる。 次に、具体的にタイと中国のケースを取り上げ、外資系企業の立地選択の決定要因について、地場系企業のそれと比較をしながら、計量分析手法を用いて行った。興味深いのは、中国では、外資系企業と地場系企業の立地選択決定要因が異なるのに対して、タイでは、両者の間になんら差異がないことである。タイでは、外資系企業、地場系企業ともに産業集積効果が企業をさらに誘致する効果がある。一方、中国では、産業集積効果が外資系企業の非常に重要な立地選択決定要因であるのに対し、地場系企業は外資系企業とはかなり異なる立地選択を行っていることである。どちらの国のパターンがより一般的であるのかまたは特殊であるのか、さらに、この違いがどのような要因に基づいて発生するのかについて、今後、さらに研究を行う予定である。 最後に、外資系企業はタイでも中国でも分散より集中する傾向にあるが、これが途上国の地域開発にどのような影響を与えるかについても検討を加えた。両国に共通するのは、外資系企業がある特定の地域に集中することによって地域間格差に少なからず影響を与えているであろう事である。しかし、このことについても、今後、さらに研究を深める予定である。
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Research Products
(1 results)