2003 Fiscal Year Annual Research Report
貿易政策の動学的研究:保護貿易政策の形成と展開の研究
Project/Area Number |
15530185
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片山 誠一 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70047489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨浦 英一 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40273065)
太田 博史 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (50118006)
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Keywords | 政治経済学 / 生産補助金 / 多数決原理 / ロビー活動 / 輸入数量制限 / 均一関税率政策 / 知的所有権保護政策 |
Research Abstract |
現代の保護貿易政策を理解するため2種類の共同研究に主として注力した。まず知的所有権保護政策の有効性に関する実証分析の研究では、実際国によって知的所有権保護政策が有効に実行されている程度に大きな相違が見られるという一般的な話を、基礎的モデルに基づいて仮説検証を行った。優氏との共同論文にその結果が報告されている。すなわち、中国をふくめて東南アジアの知的所有権保護政策の有効性に関するアンケート分析の結果、国によってはパテントや商標登録によってむしろ知的所有権の侵害を促進するような結果をもたらすことになっているが検証される。知的所有権保護政策の厳格な執行が交渉されるべきとする政策提言をおこなっている。 次に、研究叢書として出版した本では、現代国際貿易論で議論されている様々な問題のうち、貿易政策に関する1編において6論文を取り上げている。特に動学的な保護政策として保護を受けている産業の利益は時間とともに逓減してゆくが政治的に決定される保護の程度は、増減変化することがありうる。そこで問題になるのは、政策決定過程における圧力団体の行動と団体の構造である。少数グループの方が保護を受けるロビィー活動を有効に行えるのかどうか理論的な検討を行った議論を取り上げている。結論的には、まだこの問題は完全に解決できていない。輸入割当による保護政策に限定しても、ロビィーグループの活動結果をどのように測定するか、またどのような産業需要があるかによって結果が異なるため、一概に結論づけることはできない。政治経済学的観点に立って貿易政策を理解しようとしたとき、この例から見てもまだ検討課題が多いことを論文集として指摘している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 優 克剛: "知的所有権保護政策の有効性に関する実証分析"国民経済雑誌. 188巻3号. 1-20 (2003)
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[Publications] Eiichi Tomiura: "The Impact of Import Competition on Japanese Manufacturing Employment"Journal of the Japanese and International Economies. Vol.17,No.2. 118-133 (2003)
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[Publications] 太田 博史: "再生可能資源と資本蓄積および持続可能性"国民経済雑誌. 188巻5号. 15-27 (2003)
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[Publications] 編著者 Seiichi Katayama: "New Developments in International Trade : Theoretical and Empirical Investigation"The Research Institute for Economics and Business Administration, Kobe University. 359 (2003)