2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530191
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
小平 裕 成城大学, 経済学部, 教授 (00125379)
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Keywords | 社会会計行列SAM / 応用一般均衡分析 / 年金制度改革 |
Research Abstract |
経済政策を選定する時、どの政策パッケージを採用すべきかを判断するには、各政策が経済全体に及ぼす影響を定量的に把握する必要がある。私たちは、(1)定量分析のための基礎データとしてわが国の社会会計行列を構築する手法を確立すること、(2)社会会計行列を使用した定量分析を行うことを目的として、3年間の期間で研究を進めた。 昨年度までの2年間の研究で、社会会計行列の作成とともに、その利用例として、(1)社会会計行列による時系列分析と(2)乗数分析を検討した。(1)は、社会会計行列は個々の経済部門の受取、支払バランスだけではなく、その1年間に起きた全経済循環を漏らすことなく整合的に記録しているスナップ写真と見なして、そのようなスナップ写真をアニメーションのように連続して見ることによって、わが国経済の構造変化の様子を考察する方法である。(2)は、社会会計行列を内生部門、外生部門に分け、産業連関分析の手法を適用して、外生的な変化が内生部門へ及ぼす影響を明らかにする方法である。 本年度は、第3の手法として、応用一般均衡分析を検討した。完全接合体系を行列形式で表示している社会会計行列はこの前提を満足しているので、応用一般均衡モデルのデータの与え方として便利である。また、社会会計行列はデータの操作性に優れており、産業連関表を利用して分析目的に適切な生産部門の設定を行うことも困難ではないので、応用一般均衡分析への利用に適していることが確認された。さらに、現実の政策課題として年金制度改革を取り上げ、乗数分析、応用一般均衡分析の両方で検討し、各分析手法の限界を吟味した。
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