2004 Fiscal Year Annual Research Report
EU社会政策の展開-コーポラティズムと雇用、リストラクチャリング
Project/Area Number |
15530197
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Research Institution | Toyohashi Sozo University |
Principal Investigator |
中野 聡 豊橋創造大学, 経営情報学部, 助教授 (00288573)
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Keywords | EU / 社会政策 / 経済政策 / ネオ・コーポラティズム / コーポラティズム / ソーシャル・ダイアログ / 労使関係 / 欧州社会モデル |
Research Abstract |
EUソーシャル・ダイアログとは何か。主に1次資料に依拠しつつ、マクロレベルのソーシャル・ダイアログの動向を概観する作業を中心に据えた2003(平成15)年度に続き、2004(平成16)年度は、この社会制度の分析枠組みの精緻化を試みた。 (1)近年のマクロレベル・ダイアログとEU社会政策の動向を、アクター、コンサーテーション、EC条約による協議や自立的政策形成の各観点から概観した論文が、日本EU学会誌などに掲載された。 (2)主なコーポラティズム型社会の制度との比較を軸に、EU制度の特徴を再検討する分析フレームを採用した。各国制度は、しばしばEUコーポラティズム批判の前提とされているにもかかわらず、明示的対比がなお行われていないように思われるからである。特に、これら2領域の関連論文をサーベイしつつ、比較基準を明確化する作業を行った。ひとつの可能性として着目したのが、ネオ・コーポラティズム論の系譜と各種コーポラティズム指標から理念型モデルを組み立てることである。検討の過程は、『豊橋創造大学紀要』収録の拙稿に示されている。 (3)EU制度は、機能的限定性をもちつつも、各国制度から独立したダイナミズムを獲得しつつある。国内制度を対象に開発された分析フレームを、直ちにスープラナショナル制度に適用することもできない。マクロレベルにおける政労使のコンサーテーション(協調的政治行動)とメゾレベルの賃金調整を中心に、幾つかの基本的クライテリア(e.g.政策領域の幅、深度、持続性)を設定し、そのロケーションと方向性(e.g.統治制度としてのアソシエーショナル・デモクラシー)を特定、考察する方向で検討を進めている。 私事になるが、昨年11月の父の死去に伴い、国際会議参加や予算利用プランの若干の変更を余儀なくされた。コーポラティズムは、政策立案手段でもあり、その機能評価が欠かせない。今後は、構造分析を前提にした政策評価(e.g.欧州雇用戦略)を進めたい。
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Research Products
(3 results)