2004 Fiscal Year Annual Research Report
契約理論アプローチによるネットワーク公益事業の市場構造に関する経済厚生分析
Project/Area Number |
15530199
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
水野 敬三 関西学院大学, 商学部, 教授 (40229703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新海 哲哉 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40206313)
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Keywords | 公益事業 / ネットワーク設備 / 企業間提携 / 接続料金 |
Research Abstract |
我々は,電力,電気通信,都市ガス等のネットワーク型公益事業における「産業融合」や「水平合併」を促進する要因を分析するために,上流部門・下流部門からなる公益事業の寡占モデルを作った.モデルは,上流部門で作られる生産物が下流部門の生産において生産要素として使われる典型的な垂直取引モデルであるが,(1)上流部門におけるインフラ建設では企業間で提携可能,(2)下流部門の生産物市場では同一提携内あるいは提携外に関わらず企業間競争がある,(3)自らインフラを建設せずとも接続によって上流部門の生産物を購入できる,の3点の特徴を持つ.この3つの特徴は,上流部門がネットワーク設備(送電設備やガスパイプライン等)であり,その共同建設・利用が許可されていることに基づいている. 以上の想定のもとで前年度と同様なモデル分析を行ったが,今年度は前年度の分析をさらに拡張した.前年度は「規制当局が接続料金および企業間提携を決定できる場合に比べ,企業間の自発的提携を許した場合には提携サイズ(提携に参加する企業数)が小さくなる傾向がある」ことを見出した.今年度は,「企業が単独でインフラ建設を行った場合の(一生産物あたりの)平均建設費用よりも接続料金水準が低い場合,社会的に望ましいネットワーク提携が発生しない可能性」を明らかにした.これは,電気通信事業等における長期増分費用ルールに警鐘を促すものであり,公益事業のオープンアクセス政策に重要な意味を与えるものである.
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Research Products
(1 results)