2004 Fiscal Year Annual Research Report
日米欧開発支援政において輸出信用機関が果たす役割についての国際比較研究
Project/Area Number |
15530204
|
Research Institution | Nagoya College |
Principal Investigator |
茶谷 淳一 名古屋短期大学, 教授 (30236822)
|
Keywords | 輸出信用機関 / 通商政策 / 開発支援 / 民営化 |
Research Abstract |
昨年度同様、2003年秋に同時に交付決定の通知を受けた日中経済関係の研究を同時に進めた。 2004年度は、2003年度の研究、すなわち1990年代以降のアメリカの公的輸出信用機関による開発支援の状況と、それを規定するアメリカ政府の通商政策、開発支援政策の態様を明らかにすることを引き続き課題としながら、欧州において経済統合が進み対外的通商政策が各国政府から欧州連合に統合されていく中で、各国の開発政策がどのように変化し、そのなかで公的輸出信用機関がどのように変化しつつあるかを明らかにすることを新たに課題に加え、その分析のための資料収集を主に行った。現時点での研究成果として、次のような点が明らかとなった。 1.アメリカのみならず、公的輸出信用機関による保証、保険、融資等のチャネルを通じた開発支援が一般化しつつある。 2.その背景には次のようなことが考えられる。 (1)海外市場、とりわけ新興市場をめぐる競争や企業の直接投資を通した企業内貿易ネットワークの構築の支援、そのための開発支援という目的をもって展開されていること。(2)環境やアフリカ諸国の貧困化といったグローバルな課題の登場、(3)NGOの台頭、(4)国際的な資金需給の変化など、である。 以上の通り、アメリカの公的輸出信用機関同様、欧州においても、80年代末以降の「公的開発支援の民営化」という世界的な潮流の中で、国家的な政策意図をより一層色濃く反映するものとなりつつあるように考えられる。 2005年度は、これまで収集した資料をさらに分析し、「公的開発支援の民営化」という世界的な潮流が、「自由化」を意味するものかどうかを最終的な結論を得たい。
|
Research Products
(1 results)