2003 Fiscal Year Annual Research Report
株式指数オプションの証券設計に内在する取引費用節約効果と証券会社の市場流動性供給
Project/Area Number |
15530212
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷川 寧彦 早稲田大学, 商学部, 助教授 (60163622)
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Keywords | 流動性供給 / ティック・データ / マーケット・メーカー |
Research Abstract |
従来は,単一市場を対象とするマーケット・メーカーの行動モデルが研究されてきた。本研究は,きわめて似通った複数資産を用いた裁定取引を中心にその価格付けがなされている,株式指数オプションというデリバティブが研究対象であるので,複数の市場にまたがって流動性供給を行うマーケット・メーカーの行動モデルを開発した。まず,デリバティブということが本質的な役割を果たさない,株式「一括取引」と,分割発注などによる「個別取引」といった2つの市場に同時に関わりながら,利益獲得を目指しつつ市場提供および流動性供給を行うマーケット・メーカーのモデルを開発した。現実には,ランチタイムに行われている株式の取引所外一括取引(バスケット取引ないし決め商いと呼ばれるもの)と,取引所立会い時間内のザラバ取引とがこれらにそれぞれ対応する。指し値注文を出すことは個別取引に対して流動性を供給したことになるが,そのコストは(いわゆるファンダメンタル・バリューより高い値段での売り,または安い値段での買い)取引が成立したときに初めて回収できる。流動性供給コストは,例えば情報をもつトレーダーからみると指し値がファンダメンタル・バリューよりはずれている場合に指し値注文が利用されてしまうといった,逆選択コストなどから構成されるため,指し値注文を入れた時点でコストがかかる。このコストの大きさと,執行リスクを回避したいため一括取引を求める参加者がつける「プレミアム」との大きさとの対比で,均衡が求まることが示された。現在は,「一括取引」はオプションとして,「個別取引」はオプションを複製する取引戦略としてみなし,ここで得られた複数市場でのマーケット・メーカー・モデルを拡張し,本来の目的にしたがったモデル開発への橋渡しを試みている段階にある。
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Research Products
(1 results)