2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530226
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
小藤 康夫 専修大学, 商学部, 教授 (60142832)
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Keywords | リレーションシップバンキング / 地域金融機関 / 産業クラスター集積 / 地方銀行 / コングロマリット / 保険会社 / 金融行政 / 横浜銀行 |
Research Abstract |
今年度の研究では金融改革プログラムに注目し、そこで展開されている大手銀行グループ向けの金融コングロマリット化と、地域金融機関に向けたリレーションシップバンキングについて分析している。この2つのテーマのうち、特に地域金融機関についてウエイトを置いている。それは今日の金融行政にとって地域金融機関に関わる問題のほうが、影響力が大きいと思われるからである。 金融庁は地域金融機関に向けて目利き機能を唱えるだけでなく、具体的な行動指針であるアクションプログラムを2回も発表し、それを忠実に実行するように迫っている。だが、いくら金融庁が音頭を取ってもそれぞれの地域の実情を知らなければ空回りする恐れがある。そもそも地域金融機関は大手銀行と違って財務内容がいまだ十分でないところもあり、不良債権問題から完全に脱却したとはいない。また、大手銀行グループに向けた金融コングロマリット化も同様である。金融コングロマリット化が成功するには銀行業務、証券業務、保険業務の垣根を取り払い、情報の共有を進めなければならない。にもかかわらず、それを阻止する規制が存在したままの状態である。これでは、いくら金融コングロマリット化を唱えてもシナジー効果が働きにくく、それは実現不可能なものになる。 金融庁による金融改革プログラムで展開されている内容は現実の問題を直視すれば、実行するのが極めて難しい。それを強引に民間金融機関に強いれば、混乱をもたらすだけである。まさに金融行政リスクの顕在化となる。本来、民間金融機関は市場の規律にしたがって行動すればよい。それをわざわざ金融庁が方向性を指し示す必要はない。もちろん、将来の動きを先取りする能力が備わっていればそれでよい。しかし、成熟した日本経済は将来の動きが読み取りにくい。だからこそ、民間金融機関にとって市場からのシグナルにしたがって忠実に行動する必要がある。本研究ではそのような視点から金融改革プログラムを中心に検討し、その内容に無理があることを示している。
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Research Products
(5 results)