2003 Fiscal Year Annual Research Report
金融仲介プロセスの動態変化と金融ビジネス・モデルの再構築
Project/Area Number |
15530227
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
棟近 みどり 東洋大学, 経済学部・国際経済学部, 教授 (10209992)
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Keywords | CAPM / Single-Index Mode / 平均・分散モデル |
Research Abstract |
平成15年度は、当初の研究計画に従って、証券市場におけるリスク分析の研究を実施した。 1、平均・分散アプローチの研究から得られた知見 (1)株式収益率をランダム変数として確率論的に捉え、その分布特性に正規分布を仮定(正規分布仮説)している。しかし実際の株価収益率の確率分布は、正規分布よりも高いピークと厚い裾野を持ち歪度がある傾向がある。このことから、暴落時とバブル時の状況下では、モデルのフィット感が低下することがわかった。 (2)最適ポートフォリオ(Optimal portfolio)は、投資家行動に関する仮定(危険回避的投資家の期待効用最大化行動)に基づいた無差別曲線の導出によって、効率的ポートフォリオ(Efficient portfolio)の中から選択することができる。効用関数は一般に二次関数で定義されるが、ログ関数や三次関数の効用関数を想定することにより、収益率の確率分布の歪度や危険愛好的投資家も考慮することができる。 2、CAPMとその実証分析におけるデータ生成過程としてのSingle-Index model(SIM)の研究から得られた知見 (1)事前的期待モデルとして定式化されるCAPMを、事後的データを用いた計量分析で検証することから生ずる諸問題(矛盾)は、CAPM、SIM両モデルに厳しい仮定をおくことによって論理的整合性が維持されている。 (2)しかし、これらの厳しい仮定は同時に実証分析と現実との適合度を低下させる。アノマリーと呼ばれる現象の解釈について、計量的手法の妥当性も含めて理論の前提条件(効率的市場仮説と合理的投資家行動)の再検討が必要である。 (3)2003年9月にロンドンで海外共同研究者Harris教授から以下の助言を受け、今後の方向性の参考にしている。 ・行動ファイナンスの視点からCAPMを再考してみること。 ・Financial econometricsの並行的研究が不可欠。
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Research Products
(1 results)