2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530264
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Research Institution | Hachinohe University |
Principal Investigator |
金綱 基志 八戸大学, 商学部, 助教授 (50298064)
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Keywords | 海外派遣 / 人材育成 / 多国籍企業 / 組織設計 / グローバル / コミュニケーション・ネットワーク / ローカル化 / 部門横断的関係 |
Research Abstract |
組織設計は、競争優位を構築するための重要な要素となっている。組織は、その事業と同程度の複雑性を備えていなければならないが、こうした複雑性を備える組織の設計は、他社による模倣が困難なためである。多国籍企業論において、この組織設計の問題は、その初期には公式的組織構造に焦点が当てられてきた。 しかしながら、事業の複雑性への対応を、組織構造を変更することのみから行うのでは不十分であるという見解が一般的になっている。こうした視点に立つのが、Bartlett and Ghoshal(1989)、Prahalad and Doz(1987)、Nohria and Ghoshal(1997)などによるネットワーク的多国籍企業論である。 本来、組織設計とは、公式的組織構造上の変更のみを意味しているのではなく、部門横断的関係の形成や、人的資源管理の要素が含まれている。組織設計には、こうした容易に叙述することのできない要素を含めて考察していく必要がある。 多国籍企業において、この要素の一つが海外派遣である。海外派遣は、横断的コミュニケーション・ネットワークの形成の場であると同時に、国際的な経験を積むことによる人材育成の場である。しかしながら、とりわけ日本企業の海外派遣には、現地化の遅れによる多くの問題が指摘されてきている。一方で、こうした問題の解決を、単なる海外派遣者数の削減とローカル化に求めることにも問題がある。このことは、海外派遣を組織設計の要素として活用しながら、従来の海外派遣政策を転換していくことが、多国籍企業の課題の一つになっていることを意味している。 こうした問題を解決していくための、海外派遣政策の転換は、次のような方向性を持つことが必要である。(1)日本人海外派遣者のローカル・スタッフに対する比率を減少させながら、精鋭化していくこと。(2)ローカル・スタッフの現地や、グループ全体での活用を進めていくこと。(3)このための海外派遣の国際ルールを整備すること。(4)本社でのローカル・スタッフの受入基盤を整備すること。
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Research Products
(1 results)