2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530266
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山田 幸三 上智大学, 経済学部, 教授 (40240014)
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Keywords | 創造的中小企業 / 企業家精神 / 戦略的決定 / ガバナンス / 家族経営 / 創造法認定企業 / 創業経営者 / 探索型戦略 |
Research Abstract |
この研究は、1995年制定の中小企業創造活動促進法で認定された創造的中小企業(創造法認定企業)を主要な対象とし、日本型企業家社会の構築という全体的な枠組みの中で戦略とガバナンスに関する主要なテーマを設定した系統的な学術研究である。平成16年度は、追加的な文献と資料を国内外にわたって収集して文献・資料リストの充実に努めるとともに、創造的中小企業5社に対する補完的なインタビュー調査とアメリカでの追加的な調査を実施し、調査結果をもとに研究論文の作成に取り組んだ。わが国の創造法認定企業に対する第二次調査で得られた301社と中小企業の技術革新を促して地域経済を発展させることを目的として1982年に設立されたアメリカ・ペンシルバニア州政府による技術開発型中小企業支援制度のBen Franklin Technology Partners(BFTP)プログラムの認定企業118社とを対象とした第一段階の予備的な日米比較分析の結果、新たに得られた主要な知見は、次のとおりである。 1.家族経営企業と非家族経営企業で戦略に大きな違いはないが、トップマネジメントのビジョナリー行動は日本企業の方が顕著である。 2.創業者と後継者の経営する企業では、日米ともに後継者企業での家族の出資比率が極めて高い。 3.日本企業が創業者経営企業と後継者経営企業の間で戦略とトップマネジメント特性に統計的に有意な違いがあるのに対して、アメリカ企業ではそうした顕著な違いはない。 4.高業績企業の比較では、日米ともに全体として探索型戦略をとるが、日本企業はより探索的で多様な技術蓄積とコスト優位性を武器とする点、アメリカ企業はニッチ戦略を徹底しようとする点に違いがある。 5.高業績企業におけるトップマネジメントは、日本企業では創発性を鼓舞しようとするビジョナリー行動が特徴的であるのに対し、アメリカ企業では業界知識をもとに分析重視である。
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Research Products
(1 results)