2004 Fiscal Year Annual Research Report
企業における倫理的行動の促進ならびに反倫理的行動の防止に関する国際比較
Project/Area Number |
15530268
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
出見世 信之 明治大学, 商学部, 教授 (60248961)
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Keywords | 企業倫理 / 倫理的行動 / 反倫理行動 / コーポレート・ガバナンス / 利害関係者 / CSR / 企業の社会的責任 / NGO |
Research Abstract |
平成16年度においては、内外の企業の倫理的行動、特に、CSR(corporate social responsibility;企業の社会的責任)に関係する文献を収集し、CSR概念について整理を行なった。その一部については、「『会社支配』・『企業統治』・『企業の社会的責任』-株主・経営者・利害関係者関係からの考察-」(『明治大学商学論叢』第87巻第1-4号)にまとめられているが、現状では、環境への配慮、人権への配慮、経済性の実現のような、研究者等に共通に認められる内容があるものの、国際的にCSRに関する統一的な理解は未だなされてないことが明らかになった。 本研究のテーマである、「倫理的行動」および「反倫理的行動」について考える上で、CSRの視点からの接近方法は、その区別の難しさを示すことになった。また、平成15年度においては、CSRについて先進的に取り組んでいると思われる英国を訪れ、関係するNGOにおいてヒアリングを行なった。CSRに関係するNGOは、英国においては多様な存在であり、必ずしもグリーンピースのようなNGOがそのすべてを代表しているとはいえないことが確認された。日本の経営者団体のように企業に近いところで活動しているところもあれば、大企業並みの高学歴の人材を吸収しそれに応じた処遇を与えているところもあり、さらに、日本ではその一部のように考えられているCSRの特定領域について、財政的には潤沢ではない状況でも、地道に活動しているところもあった。 NGOが企業に倫理的行動を促すことに関与していることは明らかになったが、その内容は多様であることも明らかになった。CSRの概念についても、それに関係する人々においてさえ、共通の認識がないことが確認された。それにより、日本に紹介されている英国のCSRは、英国内において共通して認識されているものではなく、その一面に過ぎないことが確認できた。
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