2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本的企業倫理の再構築の研究-コンティンジェント・ステークホルダー理論による-
Project/Area Number |
15530272
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小林 俊治 早稲田大学, 商学部, 教授 (00063701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
潜道 文子 湘南短期大学, 商経学部, 助教授 (60277754)
山口 善昭 東京富士大学, 経済学部, 教授 (00200634)
田中 宏司 立教大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50350301)
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Keywords | ステークホルダー / コミュニタリアン理論 / 経営倫理 / 企業倫理 / 日本的経営 |
Research Abstract |
本年度は、まず、コンティンジェンシー理論について研究をした。コンティンジェンシー理論は、条件依存理論あるいは条件適応理論とも訳されるように、企業がおかれている条件や環境をきわめて重視する理論である。とくにウッドワードやローレンス、ローシュなどの研究を検討した。なかでも「テクノロジー決定論」ともいうべき、企業環境のうち、その企業の採用するコア・テクノロジーの性格が企業の戦略や組織に大きな影響を与えるという仮説について検討をした。 その結果、限定つきであるが、テクノロジー決定仮説の妥当性が認められた。次に、本研究は、そうしたテクノロジーの重要性を考慮した上で、企業のステークホルダー(利害関係者)の優先順位を決定すべきであるとの前提の下でいくつかの仮説を構築すべく作業を進めた。たとえば、バイオテキノロジーのベンチャー企業では、スタートアップのステージでは、技術者が最優先され、次のステージではファンドを提供するベンチャーキャピタリスト、その次では、営業を担当するマーケティング部門が重視されるという仮設が構築される。 企業は、その資源配分において、各種のステークホルダーの優先順位を決定しなければならない。その優先順位の決定は、社会の倫理、その部分である企業倫理の点から見て、妥当である必要がある。株主至上主義は、今日の複雑な社会環境からみて、問題があることは確かである。日本には、株主と同じ、あるいはそれ以上に従業員、地域社会、国家を重視する経営文化がある。現在、そのような経営文化を持つ日本的経営とコミュニタリアン理論とを結びつける作業をしている。次年度は、われわれの研究を実証すべく、実態調査をする予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 小林 俊治: "経営倫理と環境問題"マネジメントトレンド. 7・4. 77-85 (2003)
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[Publications] 小林 俊治: "倫理担当役員の役割"人事マネジメントハンドブック(辞典執筆)(日本労務研究会). 100-102 (2004)
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[Publications] 田中 宏司: "倫理綱領をどう策定するか"人事マネジメントハンドブック(辞典執筆)(日本労務研究会). 98-100 (2004)
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[Publications] 田中 宏司: "第7章 経営倫理と倫理綱領の遵守"経営倫理(分担執筆)(同文館出版). 107-121 (2003)
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[Publications] 潜道 文子: "第8章 経営倫理と組織体制の確立"経営倫理(分担執筆)(同文館出版). 123-142 (2003)
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[Publications] 潜道 文子: "第5章 知識労働者の時代における企業の経営戦略としてのフローの意義"フロー理論の展開(分担執筆、今村浩明編)(世界思想社). 143-176 (2003)
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[Publications] 潜道 文子: "長期的にみた労働力不足への対応"人事マネジメントハンドブック(辞典執筆)(日本労務研究会). 745-747 (2004)
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[Publications] 山口 善昭: "経営組織の基礎問題"八千代出版. 189 (2003)