2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530278
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
石田 光男 同志社大学, 社会学部, 教授 (40121587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 健一 大阪商業大学, 総合経営学部, 助教授 (40288783)
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Keywords | 賃金制度 / ホワイトカラー / 日米比較 |
Research Abstract |
平成15年度に日米の文献研究、日本の事例調査、平成16年度に米国の事例調査、平成17年度に日本の事例調査を実施した。研究の目的は、1.日本の賃金改革の意味を明らかにすること、2.同様に米国の賃金改革の意味を明らかにすること、3.これにより、日本の賃金改革の位相を明らかにすることであった。この目的に対して以下の諸点が明らかになった。 1.日本の改革の根本は、賃金が年齢や勤続年数によって決まるいわゆる年功賃金の改革にあった。すでに1970-80年代に能力主義的人事管理によってその弊害が部分的に除去されていたが、今時の改革はその最終的な処理にあった。具体的には、「職能」から「役割」へ人事賃金制度のキーコンセプトのシフト、職能給から役割給への転換により、定期昇給の極小化と役割等級に応じた賃率形成がなされた。人事考課は「成果主義」化にともない、「役割」と実績との評価に成果評価が、「役割」と人材との評価に「コンピテンシー評価」が定着した。また、成果評価には部門業績が優位に組み込まれた。 2.他方、米国の改革の根本は、市場で決まる賃率を組織の秩序としての賃率に組み替え人材の育成に資する制度を目指すことにあった。具体的には「職務」基準を「職能」的あるいは「役割」的に運用すること、そうした人事の基準をperformance management(組織業績管理)から演繹することであった。 3.日本は「職能」から「役割」へ、米国は「職務」から「役割」への収斂が観察できる。そうした収斂を促した日米ともに組織業績管理(日本では「成果主義」と言い、米国ではperformance managementと言う)であった。組織業績管理の受容方式は日米の歴史・文化・市場・組織の伝統を反映していた。
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Research Products
(5 results)