2004 Fiscal Year Annual Research Report
非製造企業のグローバル・オペレーションとマネジメントの適合性
Project/Area Number |
15530283
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
星野 裕志 九州大学, 経済学研究院, 助教授 (60273752)
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Keywords | グローバル・オペレーション / 国際経営 / マネジメント / 非製造企業 |
Research Abstract |
日本企業の国際経営の特徴は、グローバルなオペレーションを本社に権限を集中しながら日本人が行うエスノセントリックなマネジメントの形態がとられていることである。従来の国際経営の研究では、あまり注目されてこなかった非製造企業のオペレーションとマネジメントの適合性について、ビジネスの形態が極めて近いと考えられる航空会社を対象として、外国と日本企業の比較研究より解明することを試みた。 本研究では、航空会社の海外支店の代表者の配置とその特徴についてインタビューおよびアンケート調査を行い、本国からの派遣者が現地でマネジメントを行うことの利点と制約を中心に、分析を行った。 まず前提として、航空会社の国際経営は、海外直接投資による現地法人を主体としてではなく、支店組織のネットワークを基盤としていることから、本社の戦略を現地で遂行する組織形態がとられている。次に、顧客である乗客の多くは航空会社の本社所在国の国籍であることや海外での自国民および自国企業との依存性、航空会社特有のナショナル・フラッグ・キャリアの意識などの複合的な要因が、日本の航空会社では日本人中心の海外組織を構築することの理由として考察された。一方で、外国航空会社にも、ナショナル・フラッグとしての歴史的経緯、自国市場への依存、支店組織の運営などの要因は共通して当てはまるが、日本において支社の代表者には、本社からの派遣社員だけではなく、日本人の登用の例も多く見られた。 これらの分析から結果から、外国と日本の航空会社に見られる差異性は、日本企業のエスノセントリックな特性とともに、日本市場および日本人顧客(営業対象となる企業や顧客)を考慮した結果、日本の支社においては外国航空会社でも特に日本人の代表者をおく傾向にあることが理解できる。航空会社の事例からオペレーションとマネジメントの適合性の重視は、日本の企業と日本市場に特有の傾向と考えられる。
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Research Products
(2 results)