2003 Fiscal Year Annual Research Report
利益制御過程における報告コストと税コストの裁量的調整に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
15530304
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 一水 神戸大学, 経営学研究科, 助教授 (90235937)
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Keywords | 税務計画 / 財務報告コスト / 税コスト |
Research Abstract |
本年度は、次の3点について研究を実施した。 (1)財務報告コストと税コストのトレードオフに関連する文献のサーベイ サーベイでは、この問題に関連する現段階における未解明問題と実証分析の方法論を調査した。その結果、データベースに基づく実証研究においては、限界税率推定の精緻化と、財務報告コストと税コストのトレードオフ状態の識別が重要な課題となっていることを認識した。限界税率推定の精緻化に関しては、わが国では将来予測利益情報が入手可能であることから、諸外国において定着している推定方法をより精緻化できる可能性があるので、現在、その手法を検討中である。また、財務報告コストと税コストのトレードオフ状態の識別に関しては、現在この研究の先進国である米国で蓄積されている実証研究では、真のトレードオフ状態を充分に識別できていないことを発見した。サンプル選択方法を工夫することによってこの問題を回避できることがわかったので、この方法に基づいて実証分析を実施する準備を現在進めている。さらに、本研究の延長線上に、税制が税コストの資本化を通じて株価に及ぼす影響を解明することも、今後重要な課題となることを認識した。 (2)税コスト発生状況の国際比較 会社と株主の二重課税を排除するシステムの1つとして代表的なオーストラリアのインピュテーション・システムの内容を調査し、国別の税制と税コストの発生状況との関係を明らかにした。また、これに関連して、わが国における事業体課税制度が税コストに及ぼす影響も現在調査中である。 (3)モデル分析のための手法の調査 税法準拠研究のサーベイを通じて、最新のゲーム理論が財務報告コストと税コストのトレードオフを分析する手法として有意義であることを確認した。 来年度は、以上の成果を利用して、財務報告コストと税コストのトレードオフに関するモデル分析と実証研究を進める予定である。
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