2004 Fiscal Year Annual Research Report
東北地方の地域経済悪化による雇用構造の変化と新規高校卒者の就業動向に関する研究
Project/Area Number |
15530315
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
不破 和彦 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 教授 (60004115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 敏郎 東北大学, 大学院・教育情報学研究部, 教授 (70004124)
内藤 隆史 東北大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (90322982)
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Keywords | 新規高卒者の就職 / 地元志向 / 地域労働市場の底辺 / 単純作業従事者の増加 / 進路指導・訓練 / 早期離職 |
Research Abstract |
平成16年3月高校卒業者の就職状況をめぐって、研究計画に基づく実態把握に努めた。以下は、関係機関や高校などを調査訪問し、面談などによって収集した資料分析から得た内容である。 1.前年よりは、東北地方においても高卒者への求人数はやや増加傾向にあると言われ、就職決定者率も幾分上昇しているが、全体として厳しい状況に変わりない。この点は東北各県に共通している。 2.地元就職志向が非常に強い。地元企業などからの求人数が限られているにもかかわらず、地元での就職を希望する生徒が多いことから、就職競争は大変に厳しい。しかし、高卒者の労働市場は家内・小規模事業所が圧倒的に多く、しかも仕事内容は単純作業化している。低賃金や長時間労働など労働条件の悪さもあいまって、高卒労働者は地域労働市場で底辺に位置づけられていると指摘できる。 3.高校の多くが進路指導の一環として1年次より就職に関する教育的指導に取り組んでいる。各県教育庁学務課の指導のもと2年次そして3年次と体系的かつ段階的に就職指導を実施しているが、その成果を発揮する余地がないほどまでに高校生を取りまく就職状況は深刻化している。 4.保護者の高校卒者の就職状況、地域経済の動向などをめぐる理解が子どもの就職にあたって重要な役割をもっているが、保護者である両親の関心や認識が十分なものでなく、進路担当教員やクラス担任への依存が相変わらず大きい。こうしたことが就職未決定や就職後の早期離職者の原因として指摘できよう。 5.新規高卒者をとりまく就職および就業状況は、高校での教育や進路指導・訓練の成果を発揮させる余地さえ奪っている実状をもとに、若年者の就職および継続的な就業をめぐる社会的な対応策が早急に求められる。
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Research Products
(2 results)