2003 Fiscal Year Annual Research Report
地域ネットワークの系列化に関する日本と中国の比較調査実証研究
Project/Area Number |
15530316
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 一穂 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20150253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細谷 昂 岩手県立大学, 総合政策学部, 教授 (10005754)
中島 信博 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80005826)
徳川 直人 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (10227572)
劉 文静 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (80325927)
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Keywords | 地域ネットワーク / 系列化 / 龍頭企業 / 農業協同組合 / 農業合作社 |
Research Abstract |
本研究では、日本と中国の農村社会における個別農家と市場との結びつきを、地域末端のネットワークから国際的な農産物市場に至るまでの系列化としてとらえ、それをとくに地域における共同化・組織化の動きという点から具体的に調査実証し、日本と中国における系列化の動向を明らかにするために、日本においては山形県遊佐町において、中国においては主として山東省において、農村地域の実証調査を実施し、それぞれの地域的特性を比較した。 山形県遊佐町においては、農業協同組合-集落内法人組織-個別農家という系列化による米の産直がこれまでと同様に個別農家と全国市場を結合させていること、しかし兼業化が進展し委託農家が増加するなかで、集落を越えた広域的な農業生産組織が形成されつつあること、が明らかとなった。また山東省においては、青島市の工業化が進展した農村地域で企業誘致が多発して農業離れが進んでいること、他方では龍頭企業-農業合作社-個別農家という系列化が広範に拡がっていること、こうしたなかで構造調整と呼ばれる商品作物栽培への取り組みが進んでいること、が明らかとなった。 一方では、大型広域合併などにも影響されて、日本の農業協同組合が地域杜会(村落レベル)内部において果たす役割が大きく変質しつつある状況があり、他方では、中国の人民公杜が解体した後の農家の共同化・組織化にあっては、農業の発展にとっても最末端の郷鎮政府や村民委員会との関わりが重要な要因として浮上している。市場経済の深化という事態は、日中に共通した問題であり、それへの対応が、各地域の農業生産条件と農家経営のもとで多様に展開されている。市場と個別農家とを結びつける中間組織としての、農業協同組合や生産組織、あるいは龍頭企業や農業合作社の動向が、農村杜会における地域ネットワークの形成にとって、その重要性をさらに増していることが改めて明らかとなった。
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