2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本のホームレスの事情とそれに関する行政対策―地域別・国際的な質的研究
Project/Area Number |
15530319
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
GILL Thomas P. 明治学院大学, 国際学部, 助教授 (50323655)
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Keywords | ホームレス / シェルター / 自立支援 / 社会福祉 / 野宿 / 都市問題 / 市民社会 / 貧困 |
Research Abstract |
第一年目(平成15年度)は東京・横浜・名古屋・大阪にあるホームレス・シェルター(「一時避難所」と「自立支援センター」)を見学して、経営者と利用者にインタビューを行った。横浜では日本初のパーマネント・シェルター(「はまかぜ」)が15年6月で開業した。他の大都市のシェルターはいずれも決まった期間の後で解体される予定である。名古屋は10年間、東京は5年間、大阪はたった3年間である。15年度には新しいシェルターが開業したと同時に、期限切れに近づいた既存施設もあった。これから、各都市で約束どおりシェルターを解体・閉鎖・移動するかどうかは難しい問題になりそうである。また、16年1〜2月は何回か川崎市堤根町では、自立支援センターを作ろうとする市と反対運動の地域住民たちの間に長い交渉があったが、堤根町に足を運んで路上や小料理屋で住民の意見や気持ちを生で聴いた。この論争はやっと収まり、シェルターの建設が始まった。 それに、平成16年3月、渡米して、ロサンジェルスとニュー・ヘーブン市(コネチカット州)で比較調査を行った。ロサンジェルスではスキッド・ロウ(LAの中心にあるホームレスの人々と彼らを支援する設備が集中する地帯)で5日間泊まって、路上で人の話を聞いて、シェルターとそれを経営するNPOを5ヶ所ほど訪ねた。LAだけで日本の路上生活者の人口とほぼ同じだと言われるが、都市の反応も大きな、かつ複雑な制度になっている。ホームレス支援NPOは約350件あり、予算も$1.5億を超えている。シェルターのデザイン・経営・ルールは様々で、中には刑務所に近いものがあれば、一種の「オールターナティヴ・コミュニティー」になっているものもある。 ニュー・ヘーブンでは3泊4日を1ヶ所のシェルターで過ごしました。LA調査より集中的な参与観察方法で、シェルターの利用者を個人レベルで付き合うことが出来た。調査の第2年目(平成16年度)ではこういう調査方法をイギリスと日本のシェルターにも使おうと考えている。 日米英のホームレス問題には共通点・相違点が微妙に混ざっていて、意義のある成果が出来ると思う。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] トム・ギル: "シェルター文化の誕生:ホームレス自立支援法元年"明治学院大学国際学部付属研究所年報. 7号. (2004)
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[Publications] Tom Gill(共著), Glenn Hook(編): "The Political Economy of Governance in Japan ギルの一章:"Whose problem? Japan's homeless as an issue of local and central governance""Routledge (UK)(未定). (2005)