2005 Fiscal Year Annual Research Report
「ポスト新国際分業」と周辺社会の工業化-マレーシアを事例とする調査研究
Project/Area Number |
15530337
|
Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山田 信行 駒澤大学, 文学部, 助教授 (80287002)
|
Keywords | グローバル化 / 世界システム / マレーシア / 周辺 / 半周辺 / 多国籍企業 / 日系企業 / 工業化 |
Research Abstract |
本年度はこの研究プロジェクトの最終年にあたるため、夏季休暇期間にこれまでの調査では対象としてこなかったマレー半島の東海岸地域(クアラトゥレンガヌおよびコタバル)とサラワクとサバの2州からなる東マレーシア地域の調査を行い、全体の研究計画を細くすることに努めた。夏以降は、研究のまとめを行った。 今回の調査対象地は、マレーシアの農村地域として知られ、多国籍企業の誘致も進んでいない。これらの地域を訪問して、在来の伝統工業などを見学した結果、以下のような知見が得られた。 (1)マレー半島の東海岸においてはマレー人人口が多く、とりわけクランタン州のコタバルやトゥレンガヌ州のクアラトゥレンガヌにおいてはイスラム教の信仰が篤いために、イスラムの戒律を懸念して進出を躊躇する多国籍企業が多い。政府はこの地域への企業誘致を進めているが、ほとんど進展していない。産業は、バティクなどの衣料染色や伝統工芸などが見られる程度である。 (2)サラワクとサバの2州からなる東マレーシア(ボルネオ島部)においては、産業は観光が主軸であり、製造業の誘致は進展していない(もっとも、自由貿易区は設置されている)。その他には、木材の伐採や石油などの天然資源の採掘が行われており、進出している多国籍企業はほとんどこの分野に属している。Post-NIDLへの変容のもとで、こうした資源産業の位置づけが伝統的な国際分業のもとで想定されていたものから変化していく過程が注目される。
|
Research Products
(3 results)