2003 Fiscal Year Annual Research Report
カール・ラートゲンの日本社会論と日独の近代化構造に関する研究
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15530351
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
野崎 敏郎 佛教大学, 社会学部, 教授 (40253364)
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Keywords | ラートゲン / 近代化 / 大学問題 / シュモラー / アルトホフ / ヴェーバー、ウェーバー / ゴートハイン / 東京大学、帝国大学 |
Research Abstract |
まず、当該課題に関連する内外の文献を読みながら、参照すべき未公刊資料や本邦未所蔵文献の所在をドイツの公文書館、図書館に問い合わせた。これを元に、平成15年8月に、マールブルク大学、マールブルク国立公文書館、カールスルーエ一般公文書館、ハイデルベルク大学図書館、ハイデルベルク大学史料館、バイエルン国立公文書館を訪問し、ラートゲン関係資料文献を蒐集・閲覧した。その結果、ラートゲンは、滞日中、東京大学および帝国大学の改革問題に係わったのと同様に、帰国後も、マールブルク大学とハイデルベルク大学において大学改革に積極的に係わったことが判明した。そして彼は、日本においてもドイツにおいても基本的に同様の見地からカリキュラム改革や組織改革に当たったと考えられるので、以後、十九世紀後半から二十世紀初頭にかけての日独の大学改革問題を中心に研究を進めることにした。平成16年1月には東京大学、学習院大学において日独の大学問題に関する文献を閲覧した。 研究を進める中で、東京大学文学部の政治学科目の改変、独逸学協会学校の行政学講義、東京大学法政学部の設置、帝国大学法科大学の設立、国家学会の設立におけるラートゲンの位置づけに関して新知見を得た。また、ラートゲンと、義兄グスタフ・シュモラー、プロイセンの文部官僚フリードリヒ・アルトホフ、ハイデルベルク大学の同僚マックス・ヴェーバー、エーベルハルト・ゴートハインらとの関係が重要であることがわかった。ここから、大学の近代化の方向性とその日独の差異を探っている。また資料調査の過程で、ラートゲンとヴェーバーに係わる新資料を発見し、バルトホルト・ヴィッテ氏所蔵のラートゲン書簡を得た。現在、これらに依拠して論文作成を進めている。 図書は、明治期の日独関係、帝政期ドイツの社会科学、ドイツの大学問題、近代日本法制史関係のものを中心に購入した。また、資料調査に必要な消耗品類を購入した。
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