2004 Fiscal Year Annual Research Report
公共空間の秩序化の社会史〜街頭における監視システムの展開と問題点〜
Project/Area Number |
15530355
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
永井 良和 関西大学, 社会学部, 教授 (40207973)
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Keywords | 公共の秩序 / 監視 / 監視カメラ / 学校の安全 / 個人情報 / 街頭犯罪 |
Research Abstract |
平成16年度は、平成15年度に実施した国内における街頭監視システムに関する資料の収集を継続し、その整理を行なった。第二次世界大戦後を中心に、専門雑誌のバックナンバーの記事検索および収集、一般の単行本・新聞雑誌記事の検索および収集を実施、また、戦前期についても、現行の監視システムに先行する諸制度に関するものを収集した。 継続中の<公共空間の秩序化過程に関する年表>の作成、監視カメラや防犯システム、個人認証システムなどの技術的進歩を跡づける作業などは、収集した資料を整理する枠組みとする予定である。 これまでの調査によって、1990年代以降の社会にあって、犯罪の増加・凶悪化といったフレーズの喧伝によってさまざまな「防犯システム」を消費する傾向が促進されたことが確認できた。国家や企業が採用する大規模な個人同定装置のみならず、地域社会や一般家庭、個人が、そのような装置やシステムを消費の対象としていることが近年の顕著な特色といえよう。最近では、個人情報保護法の施行をにらみ、関連するテーマを考えるためのシンポジウムなども頻繁に開催されている。そのうち、東京ビッグサイトで開催された日経セキュリティ会議・セキュリティショーでは、一般家庭や地域社会向けのパッケージ商品が論議の対象とされた。 こういった動向をふまえ、前年度に収集整理した過去の歴史的経緯の文脈のなかで、「監視社会」と呼ばれる社会生活の特色を分析するのが残された研究課題である。
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