2003 Fiscal Year Annual Research Report
社会的ジレンマにおける制度デザインと社会関係資本に関する研究
Project/Area Number |
15530358
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
長谷川 計二 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00198714)
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Keywords | social dilemma / social capital / linkage game / social relation / network / formal model / computer simulation |
Research Abstract |
1.社会関係資本(social capital)に関する文献・資料を、主として社会学、政治学、社会心理学、開発経済学等の分野から収集し、社会関係資本に関する概念的な整理を行なった。またその整理をもとに、コミュニティにおける社会関係を互酬性にもとづく関係の連鎖(ネットワーク)としてとらえ社会関係資本をフォーマルに定式化した。この定式化において、社会関係資本は他者と直接的、間接的な関係を持つことによって生じる便益であり、関係性が間接的である程度に応じてその便益は割り引かれる。 2.次に、行為者が所属するコミュニティ・ネットワークへの参加/排除と社会的ジレンマにおける協力/非協力とが連動するモデルを作成し、社会的ジレンマでの協力のコスト、ネットワークの密度、社会関係資本の割引因子をパラメータとしたコンピュータシミュレーションを行った。シミュレーションでは、協力のコストと社会関係資本が比較され、前者が大きいときには社会的ジレンマにおいて非協力が選択される。シミュレーションの結果、協力のコストが小さい場合、社会的ジレンマにおいて協力が支配戦略となりその結果コミュニテイは維持されるが、協力のコストがある値を超えると、社会的ジレンマでの非協力によるコミュニティから排除が連鎖的に生じ、最終的にネットワークが完全に破壊されることが明らかになった。なお、この成果は第36回数理社会学会大会(9月:慶応大学)およびInternatioanl Conference on Rational Choice and Social Institutions(10月:福岡)において発表された。 3.主として総務省のデータを利用して全国の市区町村レベルのデータベースを作成し、制度的パフオーマンスの指標を作成するための予備的考察を行なった。
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