2004 Fiscal Year Annual Research Report
社会的ジレンマにおける制度デザインと社会関係資本に関する研究
Project/Area Number |
15530358
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
長谷川 計二 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00198714)
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Keywords | social dilemma / social capital / political / economic parformance / neighborhood relation / civic activities / generalized trust / norm of reciprocity / pro-social behavior |
Research Abstract |
本研究全体の目的は、(1)近所づきあいや市民活動への参加、(2)一般的信頼、協力規範の形成、(3)制度形成/パフォーマンスの相互関連をモデル化し測定することにある。本年度は、昨年度に作成した社会的ジレンマ・ゲームとコミュニティ・ゲームとのリンケージモデルを意識しつつ、上記要因の相互関連を探るための定量的な標本調査を企画・実施した。この調査では、制度パフォーマンスに関連する指標として、参議院選挙ならびに市議会議員選挙での投票の有無、災害時の救援金や慈善団体への寄付等の向社会的行為の有無、環境配慮行動の実行度等を取り上げた。また、説明要因としては、地縁団体や市民活動団体への参加の程度、それらの活動内での社会関係の内実と強度、一般的信頼、互酬性の規範等を測定した。調査対象は兵庫県三田市在住の20歳以上70歳未満の男女1500名で、平成16年12.月から平成17年1月にかけて留置法・郵送法を併用して調査を実施した(有効回収率65.7%)。 その結果、以下の3点が明らかになった。(1)近所づきあい得点が高いほど、また市民活動に参加する程度が高いほど選挙で投票する傾向がある。(2)近所づきあいと活動参加はともに、投票行動以外の他の向社会的行動を促進する傾向がある。(3)近所づきあい、市民活動への参加は相互に正の有意な関連を持つとともに、一般的信頼、互酬性の規範とも正の有意な関連を持つ。これらの結果から、社会関係資本の構成要素である、近所づきあいや市民活動への参加(ネットワーク要因)、一般的信頼、互酬性の規範が、向社会的行動を促進することが確認されるとともに、地域社会で社会的ジレンマを自生的に解決し政治的・経済的パフォーマンスを高めるためには、こうした社会関係のネットワークを拡大・深化させるための仕組みを(たとえば市民活動の支援システムなど)組み込むことが重要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)