2004 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティ・ベースの環境管理の成立過程における集団的意志決定と住民組織の再編-沖縄村落を事例とした「コモンズ」(共有資源管理)論から「地元」論への展開-
Project/Area Number |
15530361
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
家中 茂 沖縄大学, 地域研究所, 助教授 (50341673)
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Keywords | コモンズ / 地域共有資源管理 / 生活組織 / 地元 |
Research Abstract |
今年度は集中的に、竹富島の住民組織の調査を実施した。その調査報告は「竹富島の村落運営-町並景観の形成と管理の観点から-」(東京大学東洋文化研究所『人間-環境系ニューズレター』2005年3月)にまとめた。竹富島は、重要伝統的建築物群地区である「赤瓦の家並み」で知られるが、その景観を支えてきた住民組織をとりあげた。離島という自然地理的条件に規定されつつも、1972年の本土復帰以降の社会状況の変化に、どのように組織再編しつつ対応してきたのかを、有賀喜左衛門及び鳥越皓之の生活組織論をもとに分析した。この研究成果は『地域からの景観論』(共著)として、2005年度に出版の予定である。 資源に乏しい離島にあって、島に住み続けていくために、町並み景観という新たな観光資源が見出された。しかし、それが「見せ物」化していないのは、その共有資源が、祭祀を執り行うという、住民にとっての切実な生活の必要のもとに創り上げられているからである。資源としての魅力が、コミュニティとしての活動のもとに生み出されているのである。 これまでのコモンズ論が、地域資源管理システムとして論じていたのに対し、コミュニティにおける個のとらえかた、他者との関係のありようをどのように構想しうるのかという観点から論じ直すことになった。個々人の利益追求がしばしば景観の破壊を招くことから、個の充実と地域の豊かさは相対立するものとして論じられがちである。しかし、この事例研究では、地域に住み続けるということから、その矛盾をいかに克服しているか、そのために住民組織の再編をどのようにしているのかを取り上げている。
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